高校1年の頃のことだろうか。
試験を明日に控えて数学の問題を解いていた。
答えが得られないまま床について、考えながら寝てしまった。
寝ながら一生懸命に問題を解いている。
あっ、解けた。
夢の中で確かにそうつぶやいた。
夢の中で取り組んだ問題が当日の試験に出た。そんな記憶である。
寝る前に取り掛かっていた問題がいつまでも頭から離れない。
寝ながら、考えている。
それが習慣になっている。
寝ていても、頭の中の計算機は、グルグルと回っている。
一晩寝たら、チーンと音を立てて答えが出てくる。
そんな感じだ。
人間の頭の中は、コンピューターのようだなあ、そんな風に思ってきた。
弁護士として難しい問題にぶつかったときも、寝ながら解決策を考えてきた。
よく知人に寝ながら考えた、と言ったが、本当に寝ながら考えてきたのである。
昨日は徹夜で寝た、と言うこともある。
徹夜しても仕上げなければならない課題を抱えているときに、なかなか答えが見つからない。
そんなときに、寝ながら考え、徹夜した。
沢山の情報で頭の中が一杯になり、物事の道筋が見えなくなることがある。
寝ながら考えているうちに、大事なことと大事でないことが自ずから整理され、解決への道筋が見えてくるようになることがある。
だから、難しい課題を抱えているときは、思い切って寝ることだ。
そう人には勧めてきた。
しかし、政治の世界はそうは行かない。
どんなに一生懸命寝ても、解決策が出てこない。
それが現状だ。
安倍前総理が、食事も喉を通らず、睡眠もよく取れない、といった状態にまで追い詰められた状況は、今も基本的に変わらない。
臨時国会の閉会日が11月10日に迫っているが、未だに委員会の法案審議がはかばかしく進まない。
テロ対策活動に従事する艦船に対する給油支援法について審議が始まったが、10月29日に守屋前防衛事務次官の証人喚問が実施されるという。
こんな調子では、この臨時国会での採決は難しい。
こんな状況では、来年度の予算編成の目処が立たない。
予算関連の法案が成立しないということになれば、都道府県や市町村の予算の編成もできない。
日本のいたるところで政治や行政の歯車が止まってしまう。
大変だ、大変だ、と思うが、いくら徹夜で寝ながら考えても、チーンと答えが出てこない。
福田総理がこの難局を打開できれば、まさにわが国の救世主となる。