62回目の終戦の日を迎えた。
さすがに今朝の紙面は終戦の日にちなんだ記事が満載である。
政府の広報も例年に無く、しっかりしているように思われる。
「本日は、戦没者を追悼し平和を祈念する日です。本日(8月15日)、日本武道館において、政府主催の「全国戦没者追悼式」が行われます。国民の皆さま、それぞれの職場やご家庭などで、戦没者に対し、正午から1分間の黙とうをお願いします。 厚生労働省」
との政府広報が新聞各紙の1面に掲載されている。
どれだけの人がこの政府広報に気がついただろうか、と思い家族に聞いてみたが、残念ながら誰の目にも留まらなかったようだ。
かつては、ラジオやテレビで正午の時報と共に黙とうを捧げる合図があったように思うが、今はどうなっているだろうか。
職場や学校で一斉に戦没者に対して祈りを捧げ、平和を祈念する姿は美しいが、そういうことが現在でも行われているとは思われない。
8月15日を特別の感興をもって迎える人は、今は極く少数だろう。
念のため、息子に、正午からの黙とうはするか、と聞いてみた。
甲子園の熱戦を観戦していると、そういえば正午のサイレンで選手が黙とうしているね、という答えが返ってきた。
なるほど。
特待生問題で散々叩かれた甲子園・高校野球界であるが、戦争の記憶がどんどん風化する中で、高校球児の心に戦没者に対する慰霊・追悼の心を、こんな形で植えつけてきたのだ。
政治家に対するのと同様、高校球界にも激しい逆風が吹いたが、甲子園野球をここまで大きく育ててこられた高校球界関係者には、球児の技量を競わせるだけでなく、その心を育むという本来の目的に向かって力強く再出発してもらいたい。
ところで、8月15日は終戦記念日ではない、敗戦記念日だ、などという議論があったように思うが、終戦記念日か敗戦記念日かを問う声は、今は聞かれない。
私の結論は、8月15日は、そのどちらでもない、ということである。
わが国がポツダム宣言を受諾し、降伏の意思を連合国に示したのは前日の昭和20年8月14日。
降伏文書に調印し、正式に降伏・敗戦を受け入れたのは同年9月2日。
戦争状態が法的に解消になったのが、講和条約が発効した昭和27年4月28日。
8月15日は、天皇が国民に対し終戦の詔勅を発布した日である。
今日は、終戦の日であり、平和を祈念する日だと、私は思っている。
小泉前総理は、そのことを良く理解して、今日靖国神社を参拝されたようだ。
私も、その思いで、これから靖国神社に参拝し、武道館で開催される全国戦没者追悼式に参列する。