総理大臣になっても駅立ちをするんですか、と事務所の新人金井浩太郎君が言う。
思わず、エッと返事に詰まるが、なるほど若い人の考えることは違う。
金井君は、国会議員である私が毎日駅頭に出ている姿に共鳴して、事務所に顔を出した。
そんな私が総理大臣になっても朝の駅頭での挨拶を続けるといいな、と思ったようである。
私が総理大臣になる、などということがあり得ないことが分かりながら、そんな夢を描いている若者がいた、ということは、ありがたい。
私の日常の活動が、一人の若者に、夢あるいは将来への希望といったものを植えつけ始めたということであれば、こんな嬉しいことはない。
それにしても、総理大臣が駅頭で朝の、おはようございます、の挨拶をする姿を期待している若者がいた、ということは驚異である。
たしかに、そのくらい政治家は裃を脱いで、庶民の身近な存在になったほうが良い。
これまで国会議員は自分を特別な存在のように思い、庶民にとって高嶺の花の議員宿舎に住んだり、豪邸を所有していることに対してあまりにも無頓着であった。
本来、一国のリーダーは、もっとも庶民に近い存在であるべきである。
朝、駅頭に立って、おはようございます、と挨拶する総理大臣が庶民の声を無視するはずもない。
今日は、台風が首都圏を直撃するということで、雨風が段々強くなっている。
各地で予定されていた祭りが中止され、参議院選挙の街頭活動も中止に追い込まれることは必至である。
そんな中で、今朝は、志木駅の南口と北口で朝の挨拶をした。
あれっ早川さん参議院だっけ、などと声をかけてくれる人がいる。
頑張ってください、との激励の声もかかる。
こういった声が聞こえる位置にいれば、たしかに、日本の総理大臣は国民に身近な存在になる。
これから必要なのは、そういった総理大臣かもしれない。
そういえば、昭和天皇は、荒廃から復興に向けて懸命の努力を続けていた全国各地を行幸され、一人ひとりの国民を鼓舞激励して歩いていたおられたようである。
そういう姿を、国民は期待しているのではないか。