霧の中を走る/この道を歩め、という力強い声はどこから来るか | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

熱川から戻ったのが、夜中の11時過ぎ。




霧に包まれた夜の伊豆スカイラインは、2~3メートル先が見えない。黄色のセンターラインを頼りに、グルグルと山道を走る。


対向車は殆どないが、くねくねと曲がりくねった道路は危ない。


ガードレールがいきなり目の前に現れる。




新座の市会議員の後援会のバス旅行の宴会に出席しての帰り道。


これはとんでもない道を選んでしまったな、と思いながら、懸命に前を見つめる。


道は確かにあるのだが、深い霧で、どこまでが道路で、どこからが山肌なのか分からない。


どこからカーブが始まり、カーブの先に何があるのか、さっぱり見当がつかない。




なるほど、これが今の日本の状況なんだな、と思う。




見通しがつかないから、国民は不安に駆られる。


自分が今どこにいて、これから先どこに行こうとしているか分からないから、不安に苛まれる。


しかし、道はある。それが霧に隠れて見えにくいだけである。




この道を歩め、という力強い声で国民は安心する。


この道を歩めという力強い声を、国民は待っている。




昨日、党首討論が行われた。NHKでその模様を見たが、明らかに安倍総理の弁舌が小沢一郎氏に勝っていた。


為政者の逞しささえ感じさせた。


安倍内閣が発足して10ヶ月目を迎えるが、安倍総理の声には、一段と自信と力が漲っている。


この道を歩まん、という声のように私には響いた。




この国に必要なのは、どんな霧ににも視界を遮られない透視力と、どんな悪路にも負けない逞しい走行性能である。


安倍総理はどうやらそれを自分の物にしたようである。




これに対し、小沢氏は失言を恐れたのか、誰かが書いた原稿の読み上げに終始した。


意外と頼りないんだな、とその弱気に驚いた。


小沢氏の真骨頂が発揮されたのは、久間防衛大臣のアメリカの原爆投下は仕方なかった、という失言を取り上げたとき。


さすがに安倍総理も、久間発言そのものは擁護できない。




二の矢、三の矢を射掛ける小沢氏の鋭さは、さすがに老練である。


アメリカとの同盟関係は大事だが、それはそれ、これはこれ。原爆投下問題についてアメリカに対し、しっかり直言するよう安倍総理に進言する、と小沢氏は言う。




アメリカの下院外交委員会で従軍慰安婦問題について日本政府に公式に謝罪するよう勧告を決議した、というニュースを聞いて、その事実認識の杜撰さとわが国に対しての尊大さに憤慨していた私どもも共感できる発言である。




しかし、安倍総理は、まったく怯むことなく、小沢氏の批判を一蹴した。




「外交関係は、国益を図ることを第一に、総合的な配慮のもと、あくまで責任をもって取り組んでいかなければならない。


小沢氏は、私に対しアメリカの原爆投下を非難する声明を出すよう進言するというが、それでは、自民党の幹事長であった当時にアメリカに対して原爆投下非難の声明を出すよう、当時の海部総理に進言したことがあったか。」




小沢氏がグッと唾を飲み込んだ様子が窺えた。




あの時とは立場が違う、とは口が裂けても言えない。


責任ある政治家の言葉は重い。


そのことを自覚しているため、これ以上深追いできない、と判断したのだろう、議論は年金記録問題に移った。




その後の質疑応答が面白かった。


小沢民主党が掲げる政策がいかに財政的裏づけがなく、整合性がないか、ということが、テレビを見ている国民の目には明らかになった、と思う。




昨日の党首討論は、明らかに安倍総理が優勢だった。


もっと続きを聞きたい、とさえ思ったぐらいだ。


しかし、新聞を読むと、いかにも優劣が付けられないような書き振りである。




公正で、客観的な評価もできない報道など、私は、何の価値もないと思うが如何だろうか。