合格らせん です

夜の暗い道の端っこで
光っている
それを見たとき
昔むかし見たことがあった
誘蛾灯を
思い出した

誘蛾灯自体の記憶も
そんなにないはずなのに
座敷の灯りに吸い寄せられて
パサパサと鱗粉を落として
踊り狂う蛾のことを
一箇所に集めてしまう
ある種のアブナイ薬にも似てるのに
煌々と燦然と放つ
灯りをもった誘蛾灯みたいだ
と思った





@横浜市旭区


古いお地蔵さんが

そのままじゃ朽ちてしまうから

新しい屋根を付けてもらった

様子にも似て


今ではあまり見かけなくなった

緑色の公衆電話が

二車線道路の横の

三車線めみたいに広い歩道の端に

煌々とというには

ちょっとだけ弱い灯りをともして

そこにあった


たくさん積んだ小銭を

リズミカルに電話に押し込みながら

祖国の言葉をあまやかに

そしていくらか早口に話す

海外からの就労者が

よく使っていた



携帯電話の普及で

その存在さえ危うくなった

公衆電話の生き残りは

おいでおいでをするように

受話器を持つ人のことを

今も誘っている



もうどのくらい待ってるの なひとときですドキドキ