街中を歩いていると、恐い人たちにからまれている人がいた。
「お前、いい加減にしろや、コラァ!」
あーあ、かわいそうに・・・。
何でこの平和な日本にああいう人たちがいるんだろうなぁ。
そう思った瞬間、恐い人たちのうちの一人が僕の方をジロっと見て、近付いてきた。
え!なんで?何もしてないのに・・・。
「おい、コラァ!お前、今何思った?」
「え、僕は何も・・・」
「嘘付け!お前は今、なんでワシらみたいな者がいるんだって思ったよな?」
「いいえ、そんなこと思ってません。」
「わかっとるんじゃ。認めろや!」
「い、いや・・・」
「認めんかい、コラァ!」
その人はものすごい形相で僕を睨んでいる。
なぜこの人が僕がそんなことを思ったことがわかったのかは謎だったが、このままシラを切ると殺されそうなので、僕は仕方なく認めることにした。
「す、すいません!あ、あの囲まれている人がちょっとかわいそうだなと思いまして、なんでそこまで怒るのかなぁ・・と、少しです!ほんの少しそう思っただけなんです!でも、そう思ったことは認めます。はい、すいませんでした!」
「違うわい!わしが認めろと言うとるのは、そういうことやない。」
「え?じゃあ何を認めろと・・・」
「わしがお前の子供だということを認めろや!」
「え?」
「わしを認知せんかい、コラァ!」
「に、認知!?ど、どういうことですか?!」
「どういうことって、そういうことやないかい。お前がわしの親だということを認めんかい!」
「そんな無茶苦茶な・・・」
「認められへんっちゅうことか?」
「え、ええ・・・。それはさすがに・・・」
「じゃあ、ちょっとうちの事務所まで来てもらおか。」
「そ、そんな!」
「ええから、黙って付いて来んかい、コラァ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
僕は無理矢理、その人に連れられて恐い人たちが集まる事務所へ連れて行かれた。
そこで、他の大勢の恐い人たちに囲まれ、一人ソファに座わり、おしっこをちびりそうなのを必死でこらえた。
すると、そこに組長らしき人が現れた。
「兄ちゃん、えらいうちの若いもんをかわいがってくれたそうやのぉ?」
「い、いや・・・そういうわけでは・・・」
「わしらの世界はな、赤の他人同士であっても杯を交わしたら本物の兄弟になるんや。それをお前は、血の繋がった本当の親子であっても認めへんっちゅうわけか!?」
「ちょっと待ってくださいよ。僕にはまったく身に覚えがないんです!何のことかさっぱり・・・」
「しょうのない人やのぉ・・・。ええか?わしが言うとるのは、このうちの若いもんがあんたの子供やと言うとんねん。わかるか?」
「い、いや・・・だからそれが理解できないんです。」
「そうか・・・理解できんか。ほな、わしの話をよう聞いてくれるか?」
「は、はい・・・」
「あんたは真面目で誠実そうに見えるけど、本当のあんたはそうやない。あんたの中には、ありとあらゆる性質、人格が存在するんや。わかるか?」
「は、はあ・・・」
「慈愛に満ち溢れたマザーテレサみたいな人格から、極悪非道なヤクザみたいなもんまで全部あんたの中にいるわけや。でも、どうやらあんたは自分の中のマザーテレサの部分は認められても、ヤクザの部分は認められへんようやのぉ。」
「いや・・・そんなつもりは・・・」
「そしたらあんたは怒鳴り散らす奴は好きか?威圧的な態度は好きか?卑怯でずる賢い奴は好きか?どうや?」
「ま、まあ・・・どちらかと言えば嫌いですけど・・・」
「そうやろ?そういう奴が嫌いということは、あんたは自分の中のそういう部分は認めてないということや。わかるか?」
「そ、そうなんでしょうか・・・」
「そういうことや。さっきも言ったやろ?あんたの中にはありとあらゆる性質、人格が存在するということを。自分の中の一部分を否定するということは、あんたはそれを必死に表に出さないように、押さえつけてきたということや。本来、あんたに認めてもらいたかったその人格は、行き場を失ってしまう。どんどんあんたに押さえつけられて息もできんようになってしまう。そしたらどうなる?」
「さ、さあ・・・」
「もうあんたという親の元を離れて、家出するしかないやろ?そうちゃうか?」
「は、はあ・・・」
「あんたという親に認めてもらえずに、家出するしかなかったかわいそうな人格。それが・・・このうちの若いもんや。わかるか?」
「い、いや・・・よくわからないんですが・・・」
「だから、わしが言うとるのは、あんたが自分の一部を否定し、押さえつけることで、その人格が現実に人として生み出されたということや!わかるか?」
「本当にそうなんでしょうか・・・」
「そうや。こいつに限らず、きっとあんたの子供は他にもいっぱいいるはずや。あんたが押さえ込んだ自分の中の認めたくない人格は、すべてあんたの前に現実に人のかたちとなって現れてくるはずやからな。」
「は、はあ・・・」
「まあ、すぐには納得できんやろうけど、いずれわかるやろ。そしたらとりあえず、ここにハンコ押してもらおか?」
「え?」
「ハンコやハンコ。このうちの若いもんをあんたの子供だと認めますという証拠や。ぼ印でええから、押してくれるか?」
「い、いや・・・でも、それは・・・」
「ええから、さっさと押さんかい!」
「ち、ちょっとやめてくださいよ!」
僕は、4、5人に手を押さえられ、無理矢理に意味不明な書類にぼ印を押された。
「ほな、これでええわ。おい、お前もよかったのう、ちゃんと認めてもらえて!」
「は、はい!組長。ありがとうございます!」
組長とその若い組員は、抱き合って喜んでいた。
僕はそれを茫然と眺めていた。
「あ、あの・・・僕はどうすれば・・・」
「おう、あんたはもう帰ってもええわ。」
「え・・・いいんですか?」
「おう。気をつけてな。」
「は、はい・・・」
こうして僕はようやく事務所から出てくることができた。
一体今のは何だったのだろう?
僕はとにかく無事に出て来れたことに安心した。しかし、あの謎の書類のことが気になって仕方なかった。
ひょっとすると養育費とか何とかいって高額なお金を請求してくるんじゃないのだろうか?
何かの連帯保証人の書類だったんじゃないんだろうか?新手の恐喝なんじゃないのだろうか?
そんなことを考えると急に恐くなってきた。
でもあの組長が言っていたことも、何だか不思議な説得力があったのも確かだった。
僕たちの中にはありとあらゆる性質や人格があって、押さえつけた部分は、いずれ目の前に人となって現れる。
確かに、嫌な人というのは、その人の中に自分の見たくない部分を見ているから嫌だと感じるのだろう。
そういう意味では、本当に自分が押さえ込んでしまった性質や人格が、その人というかたちをとって現れているだけなのかもしれない。
自分が押さえつけることで外に生み出るしかなかった子供は、親である自分に認知してもらうまで、何度も色んな人に姿を変えて現れるのかもしれない。
「これはあなた自身なんだよ。認めてよ。認知してよ。」と訴えるために。
そうか・・・そういうことだったのか・・・。
僕は何だかすべてが腑に落ちた気がした。
― その後 ―
あのヤクザから連絡が来ることはなかった。
そして、あの事務所があったところにもいつの間にか違う会社が入っていた。
本当にあのヤクザは、僕が生みだした子供だったのかもしれない・・・。
最近は特ににそれを強く感じることがある。
今日もトイレで紙がないことに気づいた時だった。
お前、ケツの穴から指突っ込んで奥歯ガタガタいわしたろかコラァ!
ふとしたひょうしに今まで使ったこともないような言葉が飛び出して、その度に僕はあのヤクザが親元である自分の中に戻って来たことをひしひしと実感しているのである。
そして結局、トイレに紙がなかったために本当にケツの穴に指を突っ込まれ、奥歯をガタガタさせられたのは・・・
僕だったりする。
(演出上、リアル感を出すために本当に指を突っ込んでおります。ご了承ください。)
認めよう、すべてが自分であるということを。
そして、手を洗おう、ケツの穴に指を突っ込んだ後には。必ず!
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