ガーパイクが特定外来生物に指定されるかも?という話が読売にあった。いよいよかと…
口がワニのような古代魚。数種類いるが、最大のアリゲーターガーは3mになると。

世界最大級の淡水魚在来種を襲う…生息域拡大


そのアリゲーターガーが池や川に捨てられ、北米産なんで冬を越して大きくなったのが捕まる…ってのは私も何度かネタにした。
すでに北米産の大型魚、ノーザンパイクやマスキーパイクは指定されてペットとして飼育不可能になった。

それらのパイクよりもガーパイクは汚水に強いので、定着の可能性は強い。
が、ペットとしての普及の度合いはパイク以上なので、指定されなかったと思ってたがついに来たか!
と、ツイッターのアクアクラスタでやきもきしてたら衝撃のニュースが。

なんと、ナイルパーチが指定のニュースの見通しと…

“ダーウィンの悪夢”巨大魚ナイルパーチを指定 特定外来種に 環境省





これには驚いた。
確かにナイルパーチはヴィクトリア湖に導入され、生態系に大きな影響を与えている。

ダーウィンの悪夢


しかし、アフリカ原産の魚で、
北米産のパイク、ガーパイクと違い日本で生き延びる可能性は低い。
それをわざわざ指定したというのはなぜだろう?

一つはナイルパーチに限らず、
属するラテス属全てを指定して輸入、飼育禁止にするのではと。

ラテス属には日本のアカメ、アカメの近縁種のバラムンディがいる。

アカメも低水温に弱いが、元々は夏だけ淡水域に侵入する魚である。

バラムンディはアカメよりも南が分布域だが、日本の南、アカメの生育域では同じような形で生き残る可能性は無いとは言えない。

そのバラムンディがもしアカメと交雑したら、遺伝子汚染が起こり得る。
それを防ぐ意味ではないかと…

もう一つは、アクアリスト自体が警戒されているのではないかと。

私はそっちの世界から離れて大分経つ。
昔よりも一般的な趣味になった気もするが、そのせいか飼育者のモラルを疑うような事も多い。
その一つが飼いきれなくなった魚の投棄だ。

そういう魚が常に見つかる東京の多摩川は、タマゾン川と呼ばれる始末。

そういうモラルの無いアクアリストの前では、日本で生き残れるかどうかを吟味するよりも、少しでも可能性有ったり危険度高い魚は「ヤツらから取り上げてしまえ!」的な動きになったのではと危惧する。

これは怖い。

となると、生き残る温帯域の肉食魚は軒並みアウトだろう。

記事にもあったヨーロッパオオナマズ、
そして私のこよなく愛するアミアカルヴァ





ナイルパーチのように熱帯域の魚でも、
食用旺盛だったり、繁殖力高い魚ならば危険性を理由に指定され、手の届かない所へ…

これは魚に限った話では無い。

例えば爬虫類でメジャーなペットであるヒョウモントカゲモドキ。
これも実は要注意外来生物である。
クリプトスポリジウムって寄生虫があり、これが在来のトカゲモドキに感染する危険性が指摘されている。

鳥では私がペット屋いた頃は、ヤクザか土建屋が飼う的なイメージ強かった猛禽類。
それも密猟した個体をと。

これが繁殖されたモノが出回るようになり、飼う人も少しずつ増えていった。
同時に外で放して調教し、鷹狩を楽しむ人も。

が、そのことでロストする事もかなり増えている…
ツイッターで犬猫やインコが逃げて、その情報を求めて拡散希望のツイ廻ってくる。

猛禽類のも結構くるが、犬猫インコよりも飼育数はずっと低いのに、割りと見かける頻度は高いように思う。

その逃げた個体が在来種と交雑する危険も当然想定されてて、猛禽類の飼育に制限がかかる事を危惧している人もおられる。

猛禽類の飼育が全面禁止になる可能性

20年も前に離れた私から見れば、技術や環境は羨ましい位向上したが、飼育者自体はあまり変わっていないようだ…
いや、愛好家の数が増えた分、不心得者の数も増える。

悪貨は良貨を出ないが、少数のアホがやらかす事が全体のイメージを貶め、その世界や囲む環境を悪くする…
これは釣りでもバイクでも繰り返して起きて来たことだった。

釣りではバス問題、バイクでは暴走族とね。

特にバスでは対応を間違って、今や負の趣味に追いやられようとしている。

そこからわかるのは、業界自体がそういう少数の不心得者が必ず発生すると認識し、常に対応する事が必要だったと思う。

さて、アクア業界だが、それらの大型魚の投棄定着問題への対応はあまりにも甘かったと思う。むしろ、商売を優先しておざなりにし過ぎた。

例えばアリゲーターガー。
これが日本に居着く可能性は大分前から指摘されていた。

フィクションの世界だが、矢口孝雄氏によって、釣りキチ三平で描かれていた。

が、日本には小型のスポテッドガー等は輸入されてたが、アリゲーターガーは長い事輸入ってこなかった。

初輸入は86年ごろ。
私はラッキーにもそれを入手して飼育開始したのだが、その成長スピードにたまげた。

どうしても欲しいって人にしぶしぶ譲ったが、ある意味ホッとしたのも事実。

自分の180cm水槽で飼いきれないと感じてたから。

そいつは譲渡先で鯉池にて飼われてたが、あっさりヒーター無しで(故障して)も平気だった。
それを見て、これは釣りキチ三平は現実になりかねんと思った。

その初輸入からしばらく入荷無くて値段がえらく高くなってたが、その後に大量に入荷された。

これは観賞魚業界でよくある事。
最初にサンプル的に輸入する。
それを雑誌等で紹介して、人気を煽りたてる。
この時はどえらい値段がつくので、本当のマニアでお金持ちしか入手できない。

私のアリゲーターガーの場合はそれまでにアリゲーターガーSP、またはキューバに産するマンファリSPと称してショートノーズガーやスポテッドガーの地域変異かが、何度も何度もやってきてた。
つまり、またニセモンか的に一部の人覗いてそう見てて、おかげで私でも払える値段だった。

が、大概の日本初輸入の魚はエライ値段がつく。
そして煽りが効いたあたりで、どんと稚魚、幼魚を輸入する。

当然値段は下がる。となると、今まで飼えなかった人が手を出す。

それがアリゲーターガーのように巨大化する魚だろうがお構いなしだ。
 
そのうちに何度も輸入され、ホームセンター、ペットコーナーの顔賑わし的にも置かれるように。

考えてみてほしい。
アリゲーターガー
ナイルパーチ
ピラルク
ヨーロッパオオナマズ、レッドテールキャット等の大型鯰。







メーター超えて大型水槽、下手したら水族館の施設が必要とする魚。
設備費にウン十万、もしくはケタ一つ上。

そういうのが必要な魚が、数万円、数千円で売られる。
おかしいと思いませんか?

それをずっとやってきたんですよ、この業界は。

私はアニマルライツの連中嫌いだし、彼らが犬猫の生体処分防ぎたいあまりにペットショップの生体販売禁止、飼いたければ保健所から!
には、その現実離れから批判してますが、こういう事やってて飼いきれない人間生み出して当然の販売形態やってきたんじゃ、そう言われても仕方ないと思えますわ。
ただ、彼らは基本的にもふもふ系生き物重視なんで、魚には目もくれない様子ですが。

そういう業界の元では、どんな世界でも必ず出るアホ。
その数を減らす事は出来ないし、行動を抑えるのは無理でしょう。

これは私がいる釣りの世界でもそうだった。

尊敬する先輩や店主が、かつて自分のやってたバスの密放流を武勇伝の様に語るのはものすごくイヤでした。

私はバスこそやりませんでしたが、
帰化魚の雷魚にハマってましたし、
私のやってた、今やっているスズキ、ロウニンアジのルアーは、バスの釣りからの影響、恩恵をたくさん受けて成立しているわけです。
だから、バスやってない私も無罪って事はあり得ない。
そういった事で日本の水系や後進のアングラーには本当に申し訳ないと思ってます。

日本のバスアングラーが、すぐそばで釣りをしたいという欲望を抑え、
最初放流された芦ノ湖、もしくは指定されたダム湖だけで釣るものとして受け入れていたら。

ルアーのここまでの発展は遅れたかもしれませんが、バス釣りを巡る環境はまだましで、在来種への影響は少なかったかと思います。

開発による影響は避けれなかったかもしれませんが…
 
こういう風に自分を含むアングラー、業界全体が後に来る人の立場を悪くし、
その世界全体の弱体化に繋がろうとする動き。

それが古巣でも心配してた様に起こってしまった…

アホが無責任な投棄してきた事。
監理不行き届きによる脱走、ロスト。

そこから起きる帰化、外来感染症の日本の自然への蔓延。
人間への危害を加える。
それらの防止の為に外来生物、特定危険動物と飼育制限される生き物が増える流れは止まらないでしょう。

これ以上増やさない為にはどうしたらいいか?
飼育者一人一人が絶対にやってはいけない事だと強く認識する。
それが出来ない飼育者は必ず出ると云う前提で販売やメディア側が対応策を考える。

それには売り上げに影響有ろうが、「危険性」の有る生き物は売らない、入れない、取り上げないってのも大事かと思います。

同時に飼いきれて楽しい魚へ誘導する事も。私も大型魚好きですが、日本の家事情や大型水槽の普及振りを考えると、熱帯魚屋の大型魚の占める割合は明らかに変だと思う。

はっきり言って、指定されて飼育出来なくなるのは大型魚だけでは無い。
カダヤシの様に環境に影響与える小さな魚は幾らでもある。
つまり、飼育側の行動によっては、指定される魚はなんぼでも増えていく可能性がある。

そうなる前に、投棄の多い大型魚、そういうのを飼育を考え直すのが必要かと思います。
飼育の楽しみってのは、お金はたいて欲しい魚を水槽に入れるだけでは無い。
長く飼う事で、その魚の形、色、行動、魚の持つ魅力を自分で可能な限り引き出す事かと。

それには技術が必要で、それを学ぶのも飼育の楽しみ。

ただ、大型魚の場合はそれを引き出すにはして設備が大掛かりになり、その設備を用意、維持するのに費用、労力が小さい魚よりもずっと掛かる。

それを手頃なサイズに向けた方が、長い目で見ればずっと楽しいってのを、もっと教えてあげなアカンのと違うかと思いますがね。