読者の皆さんの中には、所有不動産(自己所有・他人所有を問わず)に取引金融機関を担保権者とする“根抵当権”を設定し、融資取引を行っている方も数多くいらっしゃると思います。


ただ、“根抵当権”の設定があっても、“信用保証協会”付きの融資で対応されることも少なくないと(というか、今はほとんどそうですよね)思います。


さて、この“担保設定”のある不動産を売却したり、また設定極度額の減額をお願いする場合、当然のことながら、担保権者である金融機関に依頼するわけですが、このような事例に対し、このところいくつかの実例がありましたので、ご案内したいと思います。


もし、金融機関からの“融資”が、すべて“保証協会”付きの“無担保融資”であれば、単純に考えるとすぐに応じてもらえそうですが、取引状況によっては“担保権者”ではない、はずの“保証協会”にお伺いを立てなけれならないことがあります。


私が“融資担当者”になったころは、金融機関が担保権者となっている不動産の担保権を解除等をする場合、その時に“保証協会付き”の“無担保融資”がある場合は、必ず“保証協会”に対し「“条件外担保”の抹消・変更申請」というものを申請し、“保証協会”の決裁をもらわなければなりませんでした。


しかし、その後「現在の取引振りが正常かつ順調であり、担保を抹消等しても返済等に懸念がない場合は、金融機関の判断のみで、担保抹消等が可能」になりました。


私の在職時の例としては、当方が担保権者となっている証協会付きのみ(無担保保証)で対応している先から“担保抹消の依頼”がありました。


依頼時には“延滞や遅延”もないので、表面的には、こちらの判断だけで“担保抹消”が可能な状況でしたが、実はこの取引先は、その時点では“延滞や遅延”がありませんでしたが、いつも数か月分をまとめて返済するような状況でしたので、ちょっと“正常かつ順調”とは言い難いと思い、“保証協会”に打診をしたところ、保証協会も、その時点での状況だけを見て「今このお客様は、延滞等がないので、わざわざ“条件外担保の抹消申請”を出していただく必要なありませんよ」という返事でした。


しかし、返済状況をお伝えしたところ「なるほど!確かに毎月約定通りの返済はなされていないようですね。やはり“条件外担保の抹消申請”を提出してください」ということで、結果としては承認されたという事例がありました。


仮にもし皆さん方の中で、金融機関が担保権者となって“(根)抵当権”の設定がある場合で、“保証協会”の無担保融資のみの対応であっても、“リスケ等”の当初返済条件と異なっているような場合(もちろん“リスケ”後の支払いは順調であるという前提ですが)で、その不動産を処分するようなな場合には、おそらく金融機関のほかに“保証協会”への、“条件外担保の抹消申請”が必要になることが考えられますので、早め早めの対応をすることが必要です。