2021年 イ・ドヒョン主演


あらすじ

2021年のある日、光州の外郭道路工事現場で身元不明の遺体が発掘される。

41年前1980年ソウル。大学街では民主化運動の熱気とか無縁の医大生のヒテはある理由で故郷の光州へ向かう。そこでヒテは、お見合いの代打で来たミョンヒと出会う。


登場人物

 

ファン・ヒテ(イ・ドヒョン)

ソウル大医学部主席で合格。周りは学生運動真っ盛り、ギターや派手な車を乗り回す学生。

民主化運動とかあまり興味ない。お見合いに現れた変な子に魅了されてしまう。

「sweethome」での義兄妹の2人が好きだったので、純愛の2人をほうほうっデレデレと見守りましたっ。



キム・ミョンヒ(コ・ミンシ)

看護師。お金は家族に仕送りしていて生活は苦しいが、ドイツ留学を夢見ている。でも父との関係がうまくいっていなかったり、家長としての責任でとにかく働きまくり。この先の希望が見えない人なのですよね。



イ・スリョン(クム・セロク)

法学部学生、ミョンヒの親友。実家が金持ちだけど、学生運動をしている。お見合いなんかしたくないからミョンヒにドイツの飛行機代をバイト代として代役を頼む。


イ・スチャン(イ・サンイ)

スリョンの兄で製薬会社社長。ミョンヒを大切に思っていて、留学の相談にものっている優しい人。

後半この人も捕まって、それまでは立場的には資本家だしデモをする人たちを鬱陶しく見ていたような感じでも、自分が何をすべきか?と奮起して。


ファン・ギナム(オ・マンソク)

ヒテの父で、保安部捜査課長。これでもか!と汚い手を使い、人々を犯罪者に仕立てる奴っ。実の子にも容赦なしっ。ヒテとスリョンを結婚させたいのに、ヒテがミョンヒと恋仲と知り脅してくる。


キム・ヒョンチョル(キム・ウォネ)

めちゃくちゃ暗くて暗くて、なんなんだよぅこのアッパーえーんと、モヤモヤ。その理由が後半明かされて。

酷い時代だよ。


イ・チャングン(オム・ヒョソプ)

スリョンの父で事業家。ヒテとの結婚で、ヒテ父の策略にハマっていく…。


キム・ミョンス(チョ・イヒョン)

ミョンヒの弟。認知症の祖母、暗い父、この家族どーやって暮らしてんだろう?な家でこの子はかわいくて子どもらしい子どもっ!足が早く陸上の代表合宿で光州にくる。


ファン・ジョンテ(チェ・スンフン)

ヒテの異母弟。身体も同級生より大きく、性格も大人びている。陸上合宿でミョンスと喧嘩から始まっての、段々と仲良くなる。ヒテとの仲は良いとはいえないけど、まだまだ子どもで、とにかく怖い父に怯えている。父の会話を聞いてしまってから阻止しに行く彼の行動には泣けたわ。


キム・ギョンス(クォン・ヨンチャン)

ヒテの大学の友人、二等兵。

銃を撃たないこの子が、もう見てて辛い。


イ・グァンギュ(キム・ウンス)

ギョンスの先輩兵士。ピンチの時にいつもこの人が動く。


ホン兵長

兵役もうすぐで終わるムカつく兵長。


このドラマは、軍事独裁政権の舵きりに翻弄され犠牲になった民の話だけども、ホン兵長のように上からの指令をすーっと飲んで無実の民衆に銃を向けて、その後の世界でも多分なんも思ってなさそうな人のメンタルてどうなってんだろか。多くはギョンスのように、銃を放つことが恐怖だし、100歩譲って北のスパイだとしても(実際にはただの学生、老人から子どもも手当たり次第)、取り調べることなく撃つことなんてとても無理だと思うのだけど。


 その年の五月

恋愛要素が多くて、韓ドラあるあるの親友が代わりにお見合い行って恋に堕ちる…というラブコメを楽しめる冒頭の展開。

しかし、ヒテの父オ・マンソクがもう全然そんなラブコメにはさせんっ。保安部ですよ!

息子を諦めろ!と、水かけたり金渡す韓ドラあるあるですが。

いきなり顔に布袋被せてミョンヒを拉致しますからね。拷問部屋に連行されるミョンヒ。彼氏の親との会話が拷問部屋とか、考えられん。そこで聞く、過去の出来事。父の事とかもう滝行修行並の不幸のどっと寄せに、顔面蒼白になるミョンヒや〜。

このシーンととても釣り合いの取れない、呑気なヒテの彼女の実家でいい青年っぷりを発揮したりと、お前そんな事しとる場合じゃないよう。恋愛と事件の高低差にハラハラ?ついていけないっ。


 ドラマならではの描写


恋愛物語もメインで、こんな事さえなければ2人は…と悲しいドラマなのですが。

光州事件を扱った他の作品より、ドラマのせいか「ちょっと待って、この職業の人ですら犠牲になるの?」が苦しくて。こういう部分は映画より私はインパクトがありましたね。信じられないです。軍のタガが外れまくり、手当たり次第です。

そんな中、野戦病院化するミョンヒの職場で、ミョンヒや先生たちが必死に負傷者を診察。

この辺は映画「光州5.18」でも医療従事者の大変そうな景は映されていました。救急車にすら発砲する軍。


ヒテもミョンヒを助けるために手伝うことに。本当はソウルに戻りたいのに。

とにかくミョンヒの人間としての芯の強さが凄い。

最後まで強かったです。


ドラマ冒頭2021年。

世捨て人のような男が、白骨遺体のニュースを見て警察へ行くのですが。

このご遺体が誰なのか、この男は誰なのか。

最後2021年になり年を取ったあの人この人ポツポツと登場し、前向きに懸命にその後を生きる人や、時が止まったままの人が短いシーンで映されます。

やはり、私はこの世捨て人のような男の人が1番見ていて辛かったし、悲しかったですね。

当たり前のそれぞれの青春が一瞬で奪われた、彼ら彼女らの『あの年』の五月。


あの時の恋愛の爽やかさ、事件の残酷さも描かれたドラマでした。