2020年 キム・ジョングァン監督


LEMINOにあったので、「見るか、見るまいか」悩み続けていたこの映画をやっと見る決心。

そのくらい、日本版のジョゼが好き過ぎるので、「全く別物と思って見るべし」「純愛映画と思って」という呼びかけを肝に銘じて開封。


いつもより感情的になる感想。

 

結論から言うと、見て良かったです。 

でも、実は「やっぱりこれは違う!」という文句?みたいなものもあったり。

色々な人の感想を見て、あーなるほどなぁと思い、やっと書けました。


見始めたら、やっぱりな〜、美しすぎる…。

ノーメイク風の2人ですが、本当に美しい。



ジョゼ(ハン・ジミン)

足が不自由で、住民登録もされていない。

廃品回収をする老婆と二人暮らし。

ジョゼの芯の強さと独特の世界観を、ポツリポツリと囁くように語るハン・ジミン。

この声が、耳もとで低く話されてる感覚が、もう!

エキセントリックな日本版ジョゼと違いました。同時に関西弁重要だったな、とも。いや釜山訛りのジョゼにしろとかは、違うけどもアセアセ


ヨンソク(ナム・ジュヒョク)

大学生。道で車椅子から倒れるジョゼを助ける。

送って行くと、ご飯を食べていけと言われ、以来家に顔を出して何かと手伝う。




美しすぎて、ジョゼの住む汚くてボロい家すら

「お洒落」に見えてきて、目をゴシゴシっ。

壁の蔦の朽ち具合も、カフェのよう。 

素直で優しい青年ヨンソク、同情と好奇心から点火した気持ちが段々と真剣になっていき。

老婆が亡くなってしまい、いよいよ独りぼっちのジョゼ。そこから、2人は一緒に暮らし始め…。



最初から別れを覚悟していたジョゼ。

1人の孤独から2人でいる幸せを知り、耐え難いけども別れを決意したであろうジョゼの寂しさは、芯の強さと表裏一体。

ヨンソクは真剣であったその時の気持ちを忘れたい、でも忘れられない。

別れた後、婚約者と車にいる時に偶然ジョゼを見て泣くヨンソク。



ロマンチックに、美しくまとめられていました。

それに、尽きるー。


 ヨンソクの軽薄さ加減

このお話って、ヨンソク(日本版は恒夫 妻夫木聡)の「軽薄さ」が肝だと思っているのですが。

純愛風な韓国版にも、ヨンソクの「軽薄さ」はチラチラと出してきます。ただ、何だかスマートすぎる。ナム男だからかな。


障害者に接したことはなく(多分)、ほぼ外に出ずに拾った本を読み漁って自分の世界に閉じこもる不思議なジョゼに惹かれていくヨンソク。今までにないタイプの女に出会って、恋愛関係に陥る。けど、(重くなって)別れる。ジョゼから別れると言われ、泣くヨンソク。


韓国版の方が2人とも大人の雰囲気。


「隣のおやじがお乳触らせたら何でもしてくれる」

という話に頭を殴られるような気持ちになった日本版。障害者の女性への性被害がヌルっと。

(韓国版は、最初「胸を触ってくる男から逃げた」というセリフはあり。)


そのセリフの後、ラブホに行き、「俺は隣のエロおやじとは違う」という恒夫に「どう違うの?」と問うジョゼが忘れられません。

「いつかあんたがいなくなったら、迷子の貝殻みたいにひとりぼっちで、海の底をコロコロ転がり続けることになるんやろう。でもまあ、それもまたよしや」


ヨンソクはコーヒーの違いもわからない大学生。

狭い家に篭って、様々なジャンルの本を読み漁るジョゼの会話は不思議で面白く、高級ウイスキーの空き瓶からその香りをいい当てて、バーとかにいそうな格上の女みたいなキャラも出してきたり。かと思いきや、虚言癖なのかな?な事も言う。でも、ヨンソクは嘘だろ、とか問い詰めたりもしない。そんなヨンソクが好きだったな。優しいの。後輩にも優しいけど付き合おうとかは、言わないんだろね。教授に誘われたら断れずに寝ちゃうタイプなのかな。女に不自由したことない。でも、向き合って現実未来を突きつけられたジョゼとの恋愛。自分の甘さを恥ずかしくなっちゃう。

多分、結婚してもまた時々思い出しては泣くよね。

そして、泣くナム・ジュヒョクの演技を堪能させてもらう映画でした。

美しさを表現するには、やはりヨンソクの軽薄さ加減はここまでがギリギリラインで、これが正解だったのでしょうかね。ずっとここを問い続けてましたわ泣き笑い

 


 日韓比較

時代が変わり、アイテムも変わる。


日本版

最初乳母車→社会的支援と繋がり電動車椅子ヘ


(老婆が乳母車を押してる都市伝説から始まったのよねー。中身は何だ?と。覗いたら包丁を持った女の子だったという)


水族館みたいなラブホがグッ(貝殻ベッドとか良かった)


最初の朝ごはんは味噌汁、白米、厚焼き卵、漬け物…食卓に光が取り込まれ何とも美味しそう。


エンディング

ジョゼ、と言えばくるりのハイウェイ、とインプットされてるくらい!




韓国版

最初から電動車椅子→最終的には車を自分で運転する!

この自立と社会に繋がるジョゼの明るい顔と、「あー…」と、忘れたいのに忘れられん女にジタバタする男の対比は、日韓ともに何とも言えない。ただ、韓国版の方が純愛テイストなのは、ナム男の演技かな。湿度ありますよね。妻夫木くんは、天然の悪気無いタラシって感じで良かった。


スマホを持たないジョゼがヨンソクにGoogleマップ?を見せてもらい外国を見て感動する…

海外に2人で旅したかと思わせて妄想だったのも、切ない。


最初の朝ごはん アイロンで焼くスパムとか面白い!老婆が拾ってきたアイロンかしら?ただ汁物は闇鍋みたいだった。


エンディングはIU

しっとりとして、美しい曲がこの映画にピッタリでした。