2023年 チョン・ヘイン主演



あらすじ

2014年、兵役義務によって韓国陸軍に入隊した青年・ジュノは、軍の脱走兵を追跡する部隊D.P.(軍務離脱逮捕部隊)に配属される。任務にあたるなかで、脱走した兵士たちが抱える過酷な現実を知ることに……


前作感想下差し


前作で感じた事

まず、韓ドラばかり見ていると【大学生】や【大企業】の男性が兵役に直面したり、思い出話をする場面ばかり見ていたので、当たり前だけどジュノのような家庭環境の人や脱走兵たちの背景も様々なんだと知り。

この事は今作のラストにまた考えさせられます。それはまた後で。

そして、D.P.という任務がある事や、その任務を担うのは職業軍人ではないジュノのような青年たちということも、引き続き問いかけられたように感じます。

特に、コ・ギョンピョ扮するパク・ソンウの後半の叫び。「あの後自殺するなんて思わなかったんだ」とジュノに叫びます。軽薄そうなボンボンのソンウもまた、適当に捕まえてればいいと任務についた中での脱走兵の自殺がトゲとなって彼をずっと苦しめていたのかも。


登場人物

アン・ジュノ(チョン・ヘイン)

陸軍二等兵

鋭い洞察力と忍耐力を評価されD.P.へ。

ホヨルとの絡みと、今作では上官たちとの絡みもたくさんありました。そして、この子は何でこんな冷静なんだろうかと思うよね。ほんで、みんなジュノが大好きよね。KTXで追跡しにきた軍人たちを1人でボコボコにするの、ゾンビじゃないけど「もう殺されるわ〜」と脇汗かきました。


ハン・ホヨル(ク・ギョファン)

陸軍二等兵

最初PTSDで声でないけど、ソクポンの事件で友達のルリと関わって、ルリが銃乱射事件を起こし逃走したと知り駆けつけた〜!

毎度絶妙な、漫画みたいなタイミング?空からタライが落ちるみたいな事をして、ピンチを切り抜けるホヨルのスタイル。聞き込みで逃げる人を追うのに、ヤクルトカートの車で追いつくの可愛かったラブラブとにかくジュノが大事!


パク・ボムグ(キム・ソンギュン)

陸軍憲兵隊軍曹 D.P.のリーダー

あんたはそれでいいの?とジリジリ見てたら、最後は「あんたが大将!」もう、軍のラストオブ良心。泣けたわ。えらいわ。ジュノとホヨルの守護神。


イム・ジソプ(ソン・ソック)

憲兵大将補佐官

ちょっと待って、こんないい人だったっけ?

妻のソ中佐と、ク法務室長が悪すぎて、ソックが今回善人キャラ。

そして、ボムグ✖️ジソプの関係性がメインだった!



ソ・ウン(キム・ジヒョン)

中佐 国防部検察団作戦課長

ソックの妻?元妻かな?

とにかくムカつくやり方で、いじめられてたルリの乱射事件を軍に全く責任がないよう世論を動かすの。



ソックとは子どもの事で喧嘩する2人から、後半は同志!て展開も胸熱っ。


ク・ジャウン(チ・ジニ)

期待以上に嫌な奴で、良かった!



ルリを追跡したら殺す命令を下さないソ中佐をクビにする。


パク・ソンウ(コ・ギョンピョ)

ジュノの元パートナー

区長の父のコネでD.P.に配属、前作で連れ帰るべき脱走兵が自殺し、その後気にせず酒飲んだことを隠蔽しようとしてジュノにボコボコにされる。

今回職業軍人となってジュノに復讐すべく登場するけども…⁉️


キム・ルリ(ムン・サンフン)


ソクポンのアニメ友達。豚、と言われ殺虫剤をかけられて母まで罵倒される。

ここで視聴者全員「ウヘー、何も変わってねえ、加害者がまだ威張ってるよ、この世界…」とがっかり。

そして、ルリは虐めていた古参兵たちに銃を乱射する。


ホ・ギヨン(パク・セジュン)

陸軍103歩兵師団憲兵隊の上等兵。捜査課速報室所属でボムグの直属部下。いつもD.P.メンバーとハンバーガーとか食べてて、かわいい💕


シン・ヘヨン(イ・ソル)

前作で弟が脱走中煉炭自殺をはかる。

人権センターの幹事。今回は軍の隠蔽を暴こうと、ジュノから証拠品を渡される人になり出番多し!


 脱走兵のエピソード

今回はジュノも脱走することとなりますが…それは置いておいて、やはりこの方が印象深かったです。


チャン・ソンミン(ぺ・ナラ)


大学演劇部の時から既に先輩からの理不尽な暴力。理由は男なのに女の役のオーディションに名乗りを挙げたから。

そして入隊。ゲイということでの虐め。

脱走兵となり、ホヨルに見つけられるも、ホヨルを刺してしまう。

そこからの逃亡生活。

朝から働いて、夜はバーで「ニーナ」という名で歌う。

ミュージカル俳優との事で流石の歌!

ほんと、この歌が素晴らしくて、差別や逃亡生活の苦労の魂の叫びを聞いた…。

彼の終わり方も、見ていて悔しくて悔しくて。

逃亡生活が長いと、ホッとする瞬間なんてないのだろうなぁ。


ラストをどう捉えたか?

前作より、軍の幹部、全体に斬り込みを入れた形になった今作。

イム補佐官が法廷で証言します。

人の命に関わることでも上の指令を待たなくてはならない、と。乱射事件の被害者は、即死では無かった。1時間以上もヘリが来なくて出血多量で死亡。それは軍幹部が現場の問いにオッケーを出さないからだ、と。


軍裁判の後、ホヨルは除隊。

ジュノは別の部隊へと、バスターミナルで別れる2人。


その時のセリフが

ホヨル

「全部終わったよな?」

ジュノ

「まだ始まってもいないと思うけど」 


そして、それぞれ向かうべきバスへ乗り込みました。

前作では、ホヨルが兄貴分で、黙々と仕事するジュノって感じでしたが。





ジュノは今作、自ら考えて行動します。犠牲になった脱走兵たちを思いを昇華させるように、自ら脱走兵になってまで軍の闇に切り込む。



私、今作のラストは、映画「キッズリターン」(北野武監督)のラストのセリフ

シンジ

「まーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」

マサル

「バカやろう、まだ始まっちゃいねぇよ」


を、思い出しました。


「何も始まってない」に希望を思うか、諦めるか。

ジュノの台詞には焦りと苛立ちを感じました。

どちらの作品も2人は明るい感じで言うのよね。

(キッズリターンは日本では肯定的なラストと捉えられ、フランス人には暗いラストと言われたとか)


バスに乗り、ふと窓の外を見ると楽しそうな大学生?社会人?男女たち。

そこに、あのファン・ジャンス(シン・スンホ)が。



ジャンスはソクポンを虐めにいじめ抜いた奴です。

楽しそうに青春するジャンス。ジュノに気がついて、互いにじーっと見るシーン。

ソクポンをあんな目に遭わせておいての理不尽さ、を感じなかったわけではないのですが。

兵役という学校でも会社でもない組織に所属する事は本当不思議だと感じました。

ジュノは除隊をしても楽しい学生生活があるわけでも無し、DV親父はまだ生きてるし。そんな人はたくさんいるのだろうな。就職できるのだろうか、と。

入隊して、実に様々な人と出会ったジュノ。ここは地獄かもしれないけども、ジュノにとっては居場所になりつつあるのかしら、とも感じました。

そして、楽しそうに見えたジャンスもまた、前作では除隊後社会的には厳しい環境にいたから、この1シーンだけ見て「楽しそうにしやがってハッ」とも言えないのかな。自分より年下な奴に我慢してヘラヘラしてしているのかもしれんし、ルリの事件を知りもっと十字架背負ってるのかもしれんしな…。


事件毎の問題提起や、キャラの成長物語、軍の場所による特徴もわかり完成度が高いドラマ。ずっと問題提起をし続けていかねばならない事だし、社会派ドラマや映画の役割なのだなぁと思いました。


追記

原作作家さんのインタビュー下差し

あの戦争時代からの水筒、今は変わってると知り、やはり社会派ドラマが与えた影響というのは凄いと思いました。