1999年 大島渚監督 ビートたけし主演
音楽 坂本龍一
衣装 ワダエミ
あらすじ
1865年夏、京都。
「局中法度」「軍中法度」という厳しい戒律により鉄の結束を誇る新撰組に、剣の立つ2人の若者が入隊した。ひとりは下級武士田代(浅野忠信)、もうひとりは息を飲むような美貌の少年加納(松田龍平)。
加納の入隊により新撰組の血気盛んな剣士たちは次第に心惑わされ、不穏な空気に包まれていく。
衆道…
主君と小姓の間での男色の契り。女人禁止に近い環境で発生する身分違いの男色。
史劇の後のBL余韻
韓国史劇見た後、どうしてもBL妄想癖が出てしまい久しぶりにこの映画を見てみました。ほとんど忘れていて、そして凄い面白いっ
新撰組だけど、戦ったりとかしないで、ひたすらBLの話でございます。
登場人物
土方歳三(ビートたけし)
最初、加納が新撰組の試験に来た時から「こいつはやばい」と感じていたのか?眼光鋭くいつも見張ってる感じよ。近藤が初見で加納に心奪われていることに対して、多分土方は嫉妬してると見たわ
自称ストレート、だけども…。
近藤勇(崔洋一)
馬に乗ってるとき一瞬布袋寅泰かと勘違いした崔監督でしたー。
強面のくせに加納にはちょっと優しい。加納のせいで隊の規律が乱れたと加納に「女」を教えようと指示する。一応ストレートとされる。
田代(浅野忠信)
みんなで雑魚寝してるところで、最初に加納に手を出した。加納の最初の男にして、加納に斬られてしまう可哀想な元カレよ〜。
沖田総司(武田真治)
松田龍平も相当だけど、この頃の武田真治も何というか…妖しい雰囲気。加納の前髪切らない理由が、沖田総司に惚れていて願掛けしていたと言う。沖田はそのケはないと最初から言うが、ラストはやはり加納に惚れていたのかな(私見です)。
加納惣三郎(松田龍平)
上映当時は、えー美少年?と思ったけど…(今の方が好き、好きというか大好き)
今見ると演技も下手だけど存在だけですごい説得力。あどけないけど高身長、剣術凄い。押したら押せそうな儚さに男どもは心掻き乱される!!イケメンとかではないのよね。「衆道」にピッタリ。
神秘的すぎない感じに撮っていることが、より新撰組の人たちがこの子に取り込まれていく狂気を感じさせている
最初のオーディション、試験みたいなシーンから
ロックオンされとるよ近藤さんに…
その近藤を見る土方の顔も怖い。
「珍しい、近藤さんがこんな顔をするのは。そのケはないはずだが」と心の声
土方だけが!正常。正常というか、加納に魅了されないの。狂わされていく新撰組の面々を冷静に見る語り部、みたいな。
衆道の契りを交わした加納と田代が、
(最初は拒むけど、田代を受け入れる加納くん。)
稽古をしているのを見る土方。その様子から
「こいつら、ヤッたな…」
もーたけしがウケるわ〜。ふざけた感じじゃなく、心の声で、眼光鋭く!
湯沢(田口トモロウ)に言い寄られる加納くん。
とりあえず寝てしまうの。(浅野忠信とのはなくて、田口トモロウのこの濡れ場は生々しかったわ)
で、湯沢に「田代と別れろ」と言われて
「別れられません」
じゃあ俺が斬る!みたいな展開へ。
そこからは、もー男の嫉妬を掌で転がしてるとしか思えない加納くん。
土方&近藤がこのままだと隊がやばい、と、加納惣三郎対策を。まずあいつに前髪があるから駄目だとか、女を教えたらいい、とか。
山崎(トミーズ雅)に遊廓に連れて行くように作戦を。
この山崎も、衆道のケはないのに、会話をして行くうちに「山崎さんは好きです」とサラッと言ってくる加納にたじたじ。
山崎に「誰と結縁しているんだ?」と問われて
「誰とも」
と、堂々と嘘をつく加納。
ここ、ファムファタールでしょう。(男だけど)
男を破滅させる妖艶な加納よ。
「男になぶられているうちに、怪物になったな」
これは最後に土方が呟くセリフですが、まさに怪物になったシーンはこの「誰とも(寝てない)」だと思うわ〜。
「いかんいかん」と、自制心を効かせるトミーズ雅に爆笑です。その他夜道で山崎の手を握ってきたりするのよ。
井上(坂上二郎)まで、加納くんの魅力はわかる、と
二郎さん、めちゃ剣術下手っぴな可愛いおじさんだった
沖田を堕とすために来たのか?
よくわからないままラストになるこの映画。
土方と沖田は自称そのケが無い、と公言しているのですが、加納が巻き起こした隊内の色恋沙汰の惨状を語りながら、「お前こそどうなんだ」論も話すのが興味深い。
「土方さんと近藤さんの間はどうなんです。
私にはお二人の間には誰も入れないという暗黙の了解がある気がします。それが新撰組なのです。
ところが誰かが時々そこに入ろうとする。
近藤さんが迂闊に入れようとすることもある。土方さんはそれを斬る」
これは途中から入ってきた伊東(伊武雅刀)をかわいがる近藤、に対する土方、を冷静に見てきた沖田の感想。
1番嫉妬深くて1番やばい奴は、結局土方なんだろうなぁと思ったのでした。
そして、最後、忘れ物した、と加納の元へ戻る沖田総司。
ここの解釈と、桜の木をぶった斬る土方の解釈も見る人によって実にたくさんで。。
私としては、加納惣三郎は最初から沖田に憧れていて沖田狙いで新撰組に来て、最終的にはストレートの沖田も加納に陥落したのかな?と。
ついに沖田も…と、その事に対しての憂いも含めて、土方は悪魔を斬るように桜の木を斬った、と思いました。
「男になぶられているうちに、怪物になったな」
新撰組の活躍を映画にするのではなく、衆道BL、男の嫉妬をこんな面白い映画にするとはー。
次はやっぱり戦メリ、見たくなるっ!