2021年 ビョン・ソンヒョン監督、ソル・ギョング主演



あらすじ


1961年。韓国東北部の江原道で小さな薬局を営むソ・チャンデ(イ・ソンギュン)は、独裁政権を打倒して世の中を変えたいという思いから、野党の新民党に所属するキム・ウンボム(ソル・ギョング)に肩入れしていた。

チャンデはウンボムの選挙事務所を訪ね、「1票を得るより相手の10票を減らす」戦略を提案する。理想家肌のウンボムにとって賛成できない案だったが、チャンデの豊富なアイデアに助けられ、ウンボムは補欠選挙で初当選。

さらに63年の国会議員選挙では地元である木浦で対立候補を破り、新進気鋭の国会議員として注目を集めることに。

チャンデも表にはでない影の参謀として活躍する。しかし、勝利のためには手段を選ばないチャンデに次第に党内から不満の声が漏れ始め、ウンボムも徐々に理念の違いを感じ葛藤していく。



赤裸々な大統領選サスペンス!

金大中の自伝「南山の部長たち」や、当時の新聞から脚本を書いた監督。

キム・ウンボム(ソル・ギョング)のモデルがキム・デジュンで、

大統領パク・キス(キム・ジョンス)がパク・チョンス、

チャンデがオム・チャンノクという当時の「選挙の鬼才」をモデルに。


やり返しが熱い選挙戦術

近代史とか軍事独裁政権の重ための映画は苦手と避けていたらもったいない!

時代背景はそうですが、とにかく「貴様らの選挙戦術甘っちょろいんじゃ!」と眼鏡軍師イ・ソンギュンことチャンデが、今回は加藤剛っぽいギョングさんを内助の功で助けまくります。



今の韓ドラの法廷刑事もののやられたらやり返し、痛快系シーソーゲーム好きな方は絶対楽しめる映画!

ギョングさんの政治家ぶりもとーっても素敵でした。



何段階にも渡る選挙戦にハラハラ

まずは自陣の党員を焚き付ける事に成功するチャンデ。1人1人が主体的に選挙を捉えてこそナンボアップ



地方選から着実にのし上がるウンボム。

理想、正義を胸に、演説も胸熱なんです!


ウンボムにZOKKONなのは、秘書のキム・サンホも。


ポッと出のチャンデの活躍が苦々しいのよね。

ここはチャンデの選挙のやり方が汚いと文句言いまくる。

たしかに汚くて、ネガティブキャンペーンにも程がある!わざと相手陣営の選挙の服を着て、悪事を働く…みたいなセコい事もやるチャンデの泥試合選挙。稚拙なんだけど、効果抜群で見ていて「きーもちーぃ!!」とノリノリになります。

指名全党大会の一次投票のあと、二次会投票まで続く劇的転換は実際に起きたらしいです。創作された裏側の会話や物語の味付けが絶妙で、冷や汗?手に汗?かきました。チャンデの策士っぷりに惚れます。


影として生きる男

チャンデが北の出自というのもあり、選挙陣営でかなり活躍しても表には出ない、出さない?スタイルで。

チャンデ自身も、選挙戦で利用される存在じゃなく、党の公認としていずれは自分も…という夢があり。


野党にはウンボム以外にも40代の実力政治家はいるわけで、

ライバル兼仲間なキム・ヨンホ(ユ・ジェミョン)とか

熱い男たちがうじゃうじゃいますっ飛び出すハート

この同志の中での戦いがまた面白い?

指名選挙争いでハラハラしまくり。


野党のカン総裁が、パク・イナンさんってパンフレット見るまで気がつかない私。

ちょい西田敏行っぽかったな、今回。


何段階にも選挙がある度に、敵陣営にも一目を置かれる存在になり、大金ちらつかせ引き抜きに合うチャンデ。

大統領側のイ室長(チョン・ウジン)が良かった!

最後までこっちはこっちで貫くよね〜。

軽々しく、憎たらしく。

中央情報部のキム部長(ユン・ギョンホ)は、イ室長に負けて途中退場したわ…。恐るべし!独裁政権。


今回、大統領はキム・ジョンスさんでしたー!




もー、いつチャンデが裏切るの?


今?次こそは?

はよ出馬させてやれやソル・ギョング兄貴〜爆弾


チャンデの抱える鬱憤が爆発した時に、

今まで私の見てきたこの時代の歴史映画のトホホ…、な展開?否、動かない長期政権がそうだったのねになり。大局を動かし損ねたのは、チャンデーお前だったのかーネガティブいや、チャンデを切ったウンボム陣営か。


いずれにせよ、ここまで熱い男達の生き方や、真剣さに胸熱!

史実ベースでどんでん返し展開にワクワクさせられる2時間、最高でした。


どうして?いつからこうなっちゃったの、俺たち…泣くうさぎ


「KCIA南山の部長たち」よりラストが多分フィクションなんだろうなーな終わり方。そんなファンタジーいらない!蛇足!と思うかどうか。

冒頭の小咄(鶏の卵を盗む隣人にどう対処したらいいか?)の回収で締まるし、2人の想い飛び出すハートにケジメをつける

優しい終わり方だなぁと感じましたね。





ビョン監督、「マイPSパートナー」の監督とは!?

お若いのよね。その後「名もなき野良犬の輪舞」で、今はアクション映画制作中とか。どの作品もジャンルが違い、多彩な監督ですねびっくり