毎年この時期、この時期とは田植えのシーズンだが、日差しの陽気に暑さを感じていても、花粉症の寒気を感じ、冬用の防寒作業着を着てトラクターを運転していた。今年も四月の第4週あたりから気温が例年以上だと言うに、まるで風邪を引いたみたいに寒気を感じ、咳が出た。27日は確実に発熱感があり3日ほどほぼ寝たきり状態だった。その後、痰が出始め花粉症と春風邪を引いてしまったようだ。

 

 それでも雨でない限り朝の散歩に出た。稲株が残っていた田んぼも田起こしの後に水が張られ、代掻きが終わると一面水鏡となる。曙光と足元からの照り返しに包まれ光の中を歩く。白鷺が一羽青い空を横切るを見送る。

 

 五月になる週、今年は四月の28日の朝には一番田植えが始まっていた。今は機械植えだが、それでも運転手に苗運び、イボリ(柄振り)差しと一家総出の感がある。そんな様子を眺めながら散歩した。日に日に儚げな緑色が増えていく水面を見ていると懐かしさを感じるが、この身体では農作業など出来ないと思いながら一昨年、思い切って田植え機やコンバインなどの農機具を売り払い、農業から手を引いた亡き父の決断を素晴らしいと賛辞する。

 

 五月は自分の出処進退を適切に判断できるだろうかと、未熟な己に思いを馳せる季節となったようだ。