第11話「生きていたタイガージョー!」
豹馬の死とタイガージョーの登場を描くエピソードです。
(つづき)
獅子丸「……豹馬……」
共にマントルと闘う同士が、かけがえのない友が、死んだ……。
↓風雲ライオン丸 第11話より
この豹馬の最期を描くシーンについて、特筆しておきたいことが3つあります。
一つには、
豹馬の死を必要以上にドラマチックにはしないドライな脚本
これについては昨日書きました。
そして二つ、
豹馬が死ぬ瞬間の描写がない、という演出
です。
ブラックジャガーはザグロに額を割られて尚、闘いを続けているんです。
まだ負けてはいないんです。
それが、獅子丸が辿りついた時にはすでに……という演出。
凄すぎません!?
昨日も書きましたが、まだまだこういうレギュラーキャラの死が「定着」はしていない時代だと思います。
そして、何度か言及しているマカロニ刑事の死は、その無意味さ、虚しさにおいてこの豹馬の死に近いものはありますが、それでもちゃんと死ぬ瞬間の描写はありますよ!
死ぬ間際、何という言葉を残して死ぬかを描写するって、その死ををより悲しく見せるのに、有効でしょう?
マカロニの最期の瞬間のセリフ「母ちゃん……暑いなぁ……」を覚えているファンも多いでしょう?
そういうの、一切無しです。
それ故、この虚しさは、半端ないです。
一週回って一歩先の演出を、かなり時代を先取りでやっていた気がするのですが。
私が知らないだけで、もろにこれの元ネタになった、有名なシーンが先にあるんですかねぇ?
ちょっと、いくら何でも凄すぎる気がするので、あるような気がしなくもないです。
どなたか、
・TVドラマの番組中盤のレギュラーキャラクターの死で
・あえて死の瞬間の描写を一切しないことで、虚しさを強調する
という演出の先例をご存知の方、教えていただけると嬉しいです。
あまりに前衛的過ぎる気がするんですよね。
そして三つ目。
大胆な音の演出
です。
ブラックジャガーのテーマ曲は、同一のメロディーの物が、色々アレンジされて複数作られていたんですね。
で、(豹馬の活躍シーンからではなく)獅子丸が、豹馬が一人戦いに行ったということを知ったシーンから、ブラックジャガーのテーマの、ややスローテンポの物がかかり始め、
ブラックジャガーの戦闘シーンで、それよりもテンポアップしたものが流れ……
2分以上、途中でテンポの違う曲に変わるとはいえ、ブラックジャガーのテーマがず~と、かかりっぱなしなのです。
で、ザグロ必殺兜割りにより、額が割られた瞬間それがピタッとやみ、
効果音も無しの無音状態に。
↓風雲ライオン丸 第11話より
次の瞬間
ブラックジャガー「ぐあああああっ」
という彼の苦しみの叫びが響き、その後も戦闘シーンは続くのですが効果音のみでBGM無し。
そして、獅子丸が辿り着き、豹馬の亡骸を見つけた辺りから再びブラックジャガーのテーマが流れ、曲が終わったところで、アイキャッチが入ります。
数分に渡り、ずっとブラックジャガーのテーマのメロディしか流れないという……。
そしてその間には、効果音すらない無音状態を挟むという……。
実に大胆かつ効果的な、名演出。
豹馬の死の、虚しさを際立たせます。
とにかく、豹馬の死って、もの凄く虚しい感じで描かれているんですよ。
何かを守って、みたいな形でのドラマチックな死ではない。
死の間際、何か名セリフ的なものを残すわけでもなく、そもそも死の瞬間すら描写されない。
日本の作品ではャラクターの死として多用される、壮絶な特攻死でもない。
豹馬の死によって、獅子丸の闘志に火が点き怒りの大逆襲 のような盛り上がる展開もない。
三吉に何か教訓めいたものを残してやったわけでもない。
残ったのは、深い悲しみと、虚しさだけ。
何度も書いているのですが、今だったら、もっと人気の出たキャラだと思うんですよね。
ライバルキャラ黎明期故の、そしてよりによってタイガージョーというあまりに完成された先輩キャラの後継者として生み出されたキャラゆえの悲劇であったと思われます。
さらば、黒影豹馬:ブラックジャガーよ……
そして、残された獅子丸には、新たな出会いが待っているのであった……。
↓風雲ライオン丸 第11話より
(つづく)
↓風雲ライオン丸
おまけ
昔作ったやつ。
ブログの内容とは、全く関係はありません。