年に一度のお楽しみである、劇場版名探偵コナン。
毎回、なんかぶつくさ文句を言っているのですが、やっぱり外せない年に一度のお楽しみ。
感想の続きです。
以下、ネタバレあり
・パニック物としては、……ちょっと、今回は良い点はあげられないなぁ。
いくらなんでも、解決方法がリアリティ皆無で、
「迫る液体爆薬の恐怖!」というスリルや、「爆破無事阻止!」という爽快感を感じるのは、無理!
あのクライマックス、ずっと「いくらなんでもこれはないよ……」と、頭を抱えていた、というのが正直です。
液体を全く漏らさぬ程交差点中にボールが広がっていたとしたら、その強力な圧力であちこち交差点にある物が壊れていき、それで出来た隙間からどんどん液体爆薬は流れてくるでしょう。
それ以前に、渋谷の町には排水溝が一切無いのですか? そんな街、雨が降る度に洪水状態になってしまいません?
要するに、ボールを巨大化させて交差点に「栓」をしたところで、排水溝に液体爆薬は流れ込むから、地下で融合し、街は大爆発です。
展開、というだけじゃなく、あそこで活躍する巨大ボールもね……。
いくら何でも超科学に過ぎますよ……。
まぁ、これは今回の映画だけの問題ではなく、以前から阿笠博士の秘密道具は超科学に過ぎるとは思っていましたが。
11人目のストライカー と、純黒の悪夢 と、今回は、やり過ぎとしか言いようがありません。
・アクション物としては、……微妙。
前半の回想シーンでの警察学校同期メンバーの活躍シーンが、個人的には満点って感じで。
クライマックスの安室VSプラーミャのアクションや、渋谷大爆破を阻止するコナンのスケボーアクションがやや物足りない感じか。
これは、今回の映画だけの問題ではなくて、シリーズを積み重ねてきた結果、コナンと安室は超人になり過ぎてしまったんですよ。
もうあの人達、変身後の仮面ライダーですら瞬殺できそうな超人でしょ?
かえって、どんな凄いアクションもカッコ良く見えないんですよ……。 いや、「画」はカッコいいんですが。 あまりの非現実っぷりに、キャラクターを応援したい気持ちがついて来ない。
対して、回想シーンの安室は、まだ「とんでもなく凄い『人間』」の領域にいる存在として描かれていたので。 だからカッコ良かった。
・ミステリーとしては、……どうなんでしょう?
評価しづらい。
ミステリーとして面白かったか? というと、今回はまるで面白くなかった、というのが正直な感想です。
てか、真犯人を当てられなかった人なんて皆無でしょ……。
そもそも、容疑者となるべき登場人物が二人しか出ていないわけで。
瞳の中の暗殺者 とかはなぁ……違ったよなぁ……。
適度な人数の容疑者となるべき人物が登場し、バランス良く全員に怪しいシーンがあり、作中にトリック解明や真犯人に繋がる伏線がきちんと散りばめられ……。
あの作品だって、ミステリーとして凄く面白かった、というわけではなかったけれど、近年のコナン映画とは、さすがに比較にならない。
ちょっと近年のコナン映画は、ミステリーの面白さを、捨てすぎ。
……普通にミステリーとして観た場合は。
ちょっと、良く分からないところがあるのですよ。
私みたいな奴が、普通にミステリーを楽しもうと思って今回のような映画を観ると「つまらない」となってしまうのですが、スタッフは、客層を考えて、計算してこういうミステリーにしているのかもしれない、とも感じるんですね。
紺青の拳 の時、ビックリしたんですよ。
あれ、映画を観た人ほぼ全員が「あの人が犯人じゃないかと思って観てたんだ~。 ちゃんと当たった!」と喜べる内容になっているんですね。
なんで当たるかって、そりゃ容疑者として登場した人物が、ほぼ全員「真犯人」だったからです。
全員が共犯だった、という展開では興ざめかもしれませんが、あの作品の場合、あるキャラは首謀者、あるキャラは実行犯、あるキャラはそれまでの事件には関係なかったけどラストで漁夫の利を得ようとする悪人、あるキャラはアクションシーンでの最後の強敵……と、容疑者キャラ全員が、観客が頭に描く「あのキャラが『真犯人』だと思っていたんだよね~」というニーズに応える『真犯人ぶり』で。
今回、あまりにも犯人バレバレですが、観客の「深く考えるのは面倒くさいからやらないけれど、何となく直感でこの人が真犯人じゃないかと思って観ていたら、当たった~~♪」という楽しみ方のニーズにちゃんと応えているバランスなんじゃ? とも思うのです。
片腕を上げることすらできないのに大量の液体爆薬をどうやって仕掛けた? とか、ツッコみたいところは山のようにあるけど……。
後、コナンって、原作はちゃんとは読んでいない、TVも観てはいない。でも映画は観ているよ、って人も割といると思うんですよね。
その場合、今回は警察学校編のキャラは全員「初めて見るキャラ」だったわけで。
容疑者となるべきキャラの人数が少ないのも、仕方がないかなぁと。
これ以上、登場人物、増やせないよなぁ……。
てなわけで、今回の映画は
微妙……
でした。
来年に期待!
いや、来年はマジで期待!!
ついに、ついに待望の灰原活躍編か!?