彼らは世界にはなればなれに立っている 読了 | 無敵動画堂高田のブログ

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無敵動画堂 というサークルで、アマチュアアニメを製作している者が、アニメや特撮について語ります。

 彼らは世界にはなればなれに立っている 読了。

 

    ↓彼らは世界にはなればなれに立っている

 

 

 切ない……! なんて哀しい物語なのだろう。

 

 え~、購入から読了まで、2週間以上かかってしまいました。

(「彼らは世界にはなればなれに立っている 購入」 参照)

 何のことはない、「ちゃんと読むぞ」という気持ちでこの本には向き合った為、その気持ちになるまで、若干、読み始めるのに時間が必要でした。

 本当は今日読み終えるペースではなかったのですが、読み始めるとのめり込んでしまい

帰宅の途で最寄り駅で降りた後、改札を出た後の通路で人の邪魔にならないよう壁によりかかった状態で数十分間立ち読み! 無事読了しました。

 せめてホームのベンチに座って読もうかな、とも思ったのですが、まぁ、電車を待つ間、座りたい人もいるかもしれないと思い、ベンチはそういう人達に使ってもらうこととして自分は立ち読み。

 

 私は割と、読書などで涙を流したりを普通にするので、今回も、少し泣いて、グズグズと鼻水をすすっていたような気もするので、周りからは、ちょっと変な人に思われたかも(笑)。(本を読んで泣いている姿も美少女とかなら画になるが、私は小太りのオッサンだもんなぁ~)

 読めば皆、落涙必至と思われる、切なく哀しい物語でした。

 

 ただ、主に3つの理由から、「あ、これは好き嫌いが別れるだろうな」と思いました。

その理由ですが

 

1. 「相棒」の人気脚本家が~ とい売り方をしているけれど、「相棒」及び前作までの小説作品と、かなり毛色が違う作品になっている

 

2.架空の町を舞台にしたファンタジーで、キャラクター名は皆「カタカナ」で覚え辛く、登場人物が多く、時系列も現在と過去が激しく交差する複雑な構成で……といった、「取っ付き難さ」がある

 

3.テーマ性、メッセージ性の強い作品で、ハッキリと「反差別」「反権威主義」を謳っているので、そういう考えに反発を覚える人は絶対に肯定できない内容

 という3つです。

 私自身も、上記に自分で挙げた「2」には、多少引っかかったところがありました。

 

 今はもう「中央府」は「第四の町」に移ってしまっているけれど、その町に住む人々の多くは「塔の地・始まりの町」の人間であることを誇りに思っていた。 そして他所から流れ着いた者達を「羽虫」と呼び、蔑んでいた

 トゥーレは初等科に通う13歳の少年。

 父はトラックの運転手。

 母はドレスの仕立てを仕事にしていて、父に見初められた 羽虫 だった。

 

 町に20年ぶりに客船がやって来て、盛大に歓迎の祭りが行われた。

 父に連れられ、お祭りへ出向いたトゥーレ達一家。

 母は自分で仕立てた薄緑色のドレスを着て、トゥーレは粉砂糖をたっぷりまぶした揚げ菓子を口にして、皆、幸せだった。

 さらに幸運なことに福引に当たって3人が舞台上へ上がった時、客席からヤジが飛んだ。

「羽虫が一匹まじってるぞ」

「なんで舞台に羽虫がいるんだ」

 一家に向けられた、むき出しの悪意。

 青褪める母。 聞こえないふりをして、じっとしている父。

 

 4日の後、母:アレンカは、姿を消した。

 父は、母が何かの事故に巻き込まれたのではと、探し回った。

 しかし、トゥーレは、父が知らぬ あること を知っていた。

 だから、地下室の、あの大きな衣装箱の中を、父に見せてはいけない……。

 

 え~と、上記が一応、この作品の序盤の展開なのだけれど、非常に複雑なストーリーで、正直、解説がしにくいです。

 

 作品は4章からなり、章ごとに主人公が異なります

 

 1章の主人公は、町の人間である父と羽虫の母を持つ、トゥーレ という少年。

 2章の主人公は、褐色の肌を持ち、幼少時の記憶を失っている羽虫の女性 マリ。

 3章の主人公は、「葉巻屋」と呼ばれる 陽気な羽虫の男。

 4章の主人公は、腰まである白髪と胸まで垂れ下がった顎髭を持ち、百歳を超えていると豪語する老人「魔術師」。

 

 それぞれが、現在の物語と、回想を織り交ぜ、さらには自分の物語だけでなく他人のことを語る。

 現在と過去、自分と他人の物語が複雑に絡み合う構成です。

 

 とても今回だけでは語り足りないので、明日以降もこの作品の感想を続けます。

 上記に挙げた「好き嫌いが分かれるだろう」理由についてだけでなく、この作品の魅力についても。

 取っ付き難さは感じましたが、のめり込む人は、間違いなくのめり込んでしまうタイプの作品です。

 

 くどい、と思われるかもしれませんが、ホント、切なくて哀しい物語でした。

(続く)