劇場版ウルトラマンタイガ 感想 | 無敵動画堂高田のブログ

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 今頃かよ! と思われる方も多いでしょうが
 劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス
感想です。



 ここから先は、ネタバレですので、そういうのが嫌いな方は、読まないようにして下さい。



























 
 ニュージェネレーション・ウルトラマン映画は正統派の娯楽映画に徹していて、大変安定感がある。
 今年は、例年以上にお祭り大集合企画。
 何せ、変身前のウルトラマンキャラが、8人ズラッと並ぶのですから
 
 まぁ、変身後のウルトラマンの登場数で言えば、「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」という常識外れの映画が存在するので、あれを抜くことは適わないが、
変身前のカウントなら、「大決戦!超ウルトラ8兄弟」に次ぐ記録である。
(え? 8人でタイ記録じゃないのかって? それが、Aやアグルに変身するシーンこそないものの、「8兄弟」の方には夕子や藤宮も登場しているので、残念ながら、及ばなかった)

 いや、及ばなかったと書いたけどね?
 普通に考えて、直近のウルトラマンがズラッと勢ぞろいするわけですよ。
 これ、ウルトラニュージェネシリーズをリアルで応援していたファンにとってはね、あの伝説の名作「仮面ライダーストロンガー最終回」と同じ感覚なわけですよ。
 最近の映画に、数十年前のヒーロー役者が出演してくれるのは、大御所登場!って感じで、それはそれで感動なのだけれど、
途切れることなく続いてきたシリーズで、(7年間連続TVで新シリーズ放送って、何気にウルトラマンでは最長記録)
ここ7年のヒーローが全員揃うっていうのは、
またそれとは違う、格別の感動があります。
 
 で、この映画ですが、
 ニュージェネ総登場というイベントと、タイガ完結編という二つの性格を持った映画で、
 おそらくはそのバランスに最も腐心したであろう脚本と演出になっていた。

 単に歴代ヒーローが登場するだけでなく、それぞれに見せ場を持たせ、セリフなどではそれぞれのシリーズのネタをしっかりと入れ、という丁寧な脚本と、
 よく知らない人にもこのキャラはこのウルトラマンです、ということがはっきり分かるように、各キャラがちょっと目立ついいセリフを言った後に、変身後のウルトラマンのカットが一瞬挿入されるという丁寧な演出。
 ホント、奇抜さではなく、堅実で丁寧な仕事こそ素晴らしいのだということを再確認させてくれますよ。

 TVシリーズのキャラクターも、歴代ヒーローに負けない丁寧な描写で好感が持てた。
 マグマ星人やマーキンド星人までなかなかの活躍を見せるほか、ちゃんと彼らがホマレやピリカと仲良くやっていて、しっかり仲間意識をお互いに持っている「TVシリーズのその後」を感じさせる作り。
 そして、ヒロユキとトライスクワッドの別れをちゃんと描き、タイガ完結編としての役割もきちんと果たしていた。
 うむ、素晴らしい。
 
 そして今回はさらに「ウルトラマンタロウの登場と闇落ち」という大ネタも入っているのである。
 正直、タイガがタロウの息子である、という設定は、TVシリーズでは、「本当にこの設定、必要だったかぁ?」と言いたくなるほど、活かされていない設定で(笑)。
 まぁ、番組の宣伝戦略上、まずは掴みとして必要とされた設定だったのでしょう。
 そして、実際、インパクトのある設定だったので、完結編となる今回、タロウをゲスト出演させ、さらには闇落ちさせ、未熟であった息子達がそれを救う、というのは、タイガ完結編としてあるべきストーリーだったのだとも思います。
 タロウ、カッコ良く活躍するシーンが全然ないけどね。

 ギーストロンとウーラー以外は、タイガに登場した新怪獣も全部怪獣軍団として登場するし、トライスクワッドの勢揃い、ニュージェネウルトラマン最強形態そろい踏み(昨年はCGで表現されていたウルトラマングルーブも、着ぐるみで登場!)と、サービスも良い。

 かなり満足度の高い映画でした。

 ただ、あえて苦言を呈するならば……。
 バランスが良く、非常に隙の無い出来過ぎる、というところか。
 なんのこっちゃ? と思われるかもしれませんが、後々、ファンの間で話題に上ったりする映画って、案外「ストーリー、あまりに詰め込み過ぎ」とか「ドラマらしいドラマが無い(笑)。ひたすらバトルだったなぁ」という、少々いびつさがある作品の方だったりするのですよ。

 そのバランスの良さゆえ、
安心して「いや、ニュージェネシリーズ観て無いし」なんていうファンにも勧められる、
ニュージェネクライマックス というより ニュージェネ入門編 という印象の作品になっている気がしなくもない。

 でも、安心して誰にでもお勧めでき、おそらく誰もが面白いという感想を抱くであろう、堅実な作りの佳作であった。