medium(メディウム) 霊媒探偵城塚翡翠 読了 | 無敵動画堂高田のブログ

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 medium(メディウム) 霊媒探偵城塚翡翠 読了。

 

 

 

 まず、感想としてこれは書いておきましょう。

翡翠ちゃんかわいい

 

 閑話休題。

 本書を読んで、いよいよクライマックスに差し掛かったところで思ったことは

 失敗した~~!

 でした。

 ん? 面白くなかったのですか? って、そうではない。

 無茶苦茶面白いです。

 ただ何に失敗したかって、もっと早く、発売されてからすぐに読むべきだったということです。

 間違いなくそっちの方が、もっと楽しめた。

 いや、本当は、発売されてすぐに買って、直ぐに読みたかった本なのですよ。

 

 ネタバレこそ踏まなかったものの、読んでいて、ラストのネタを、おぼろげに予想出来てしまったのだ。

 予想できたのは、私に真っ当な推理力(?)があったからではなく、間違いなく、今頃になって読んだこと、が理由なのです。

 予想が当たったという興奮と喜びも多少はあるのですが、やっぱり、完全に予想外だった、という方が、より楽しい読書体験だったろうな、と思います。

 

 以下、ネタバレありの感想。

 この作品、マジでネタバレしてから読んではいけない系なので、

もし、今後、読んでみようかな~という気持ちがわずかにでもある人は、ここから下は、ホントに読んじゃダメですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本作は、全4章からなっており、1~3章は、

 推理作家である香月という青年が、霊媒師である美少女:翡翠とコンビで、いくつもの殺人事件を解決していく、という筋立て。

 事件の調査を開始して間もなく、かなり早い段階で、翡翠は霊感で、犯人が分かってしまう。

 しかし、犯人が分かっても、霊感で分かりました、では警察は動いてくれないので、推理作家である香月が、結果から逆算していく形で推理を展開していく、という構造。

 なんだか東川篤哉さんの魔法使いマリイシリーズを思わせる設定。(もっとも、魔法使いマリイシリーズは、基本がコメディで、こちらはシリアス系ですが) 

 そして、第4章にて、作品冒頭から登場していた連続殺人鬼との対決が描かれるのですが。

 

 

 

 

 今後、読んでみようかな~という気持ちがわずかにでもある人は、

ここから下は、

ホントに、ホント~に、読んじゃダメですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第4章に入る前に、どうしても、考えてしまうのですよ。

 1~3章、ぶちゃけ、そんなに面白くはないぞ? と。

 あまりトリックや謎解きにも新鮮味はなく……。

 ただ、過去のこの作者(相沢沙呼)の作品は何作も読んでいるので、この作者の作品が、こんなつまらないはずはない、という思いがある。

 まぁ、第4章には、かなり驚きの仕掛けがあり、クライマックスを盛り上げるのだろう、という予想が立ちます。

 で、私はまず、「翡翠こそが、連続殺人鬼の正体である」というクライマックスを予想しました。

 降霊なども行う少女なので、多重人格的行動をとるヒロインなんですね。

 普通ならその予想を立てたところで、クライマックスへ読み進めるところだったのですが……。

 

 最初に書いたように、発売されて直ぐではなく、今頃になってようやく、私は本作を読んだのです。

 帯には「「このミステリーがすごい!」1位、「本格ミステリ・ベスト10」1位、 Apple Books の「ベストブック」の「ベストミステリー」の3冠達成!」という煽りでかでかと載っていたのだ。

 

 上記の私が予想した程度のクライマックスでは、3冠は無理だ、と判断し、そこでもう一回、第4章へと読み進む前に、クライマックスの予想を立て直すことに。

 結果、

 

1~3章が根底から覆るくらいの大どんでん返しに違いない。

それはというと

 

連続殺人鬼の正体は主人公の香月。

 

翡翠は実は霊媒師などではない。

 

これまでの彼女のキャラ(霊媒師で、健気で、儚げで、可憐で、ちょっとドジっ娘で、ボッチ体質)は全て演技。

 

翡翠は事件の調査を開始するや否や直ぐに解決してしまう超絶凄い推理力の持ち主で、真っ当な推理をした上で事件の真相を見抜き、それを霊感のおかげで解けた振りをして香月にヒントを出していた。

 

事件発生から、翡翠が香月にヒントを出すまでの文章を読み返せば、ちゃんと真相にたどり着けるだけの材料は文中に示されている。

 

さぁ、読者よ、もう一度読み返して、翡翠が香月にヒントを出すまでの文章から、どうやって翡翠が真相を推理できたのか、を考えてみよう! という構造の小説である。

 

というこの小説の大ネタを、おぼろげながらに思い浮かべるところまでは到達してしまいました。

 そのくらいの凄いことをやっていなければ、3冠はとれないだろう、と。

 ただ、さすがにそこまで凝った構造ではないだろうな、と思いつつ読み進めると、マジで上記のような小説であった。凄かった。

 ……ってのは、もう読了した皆さんも知っての通りです。

 このネタって、思いついたとしても、実際作品として書けるか? っていうと、並の作家では、書けないですよねぇ。

 

 失敗したなぁ。

 ホント、3冠達成! なんて煽りを目にしていなければ、「翡翠こそが、連続殺人鬼の正体である」という的外れな予想を立てたまま読み進め、クライマックスで、「まさに驚愕!」という体験ができたはずなのに。

 

 しかしまぁ、ホント面白かったです。

 翡翠がマジシャン的な事をやり始めた時なんか、「午前零時のサンドリヨン」から相沢沙呼さんの作品を読んでいる身としてはぞくぞくっとしましたよ。

 

 ↓午前零時のサンドリヨン

 

 経済的、時間的余裕がなくなり、読みたい本を普通に買って、読みたいときに読むという自由がなくなってしまったというのは、ホントに、人生の楽しみを奪われてしまったという事なんだなぁ、とちょっと悲しむ。