年に一度のお楽しみである、劇場版名探偵コナン。
コナン劇場版を観に行くというのは、1作目から1度も欠かしたことが無い、私にとって恒例行事です。
毎年、スケールの大きいパニック物としての要素も強く(むしろ、推理物というより、基本ベースはこちら)、今回は、アクション性の強い1本でもあるようで。
毎年、なんかぶつくさ文句を言っているのですが、やっぱり外せない年に一度のお楽しみ。
という事で、友人達と、昨日、観に行ってまいりました。
以下、ネタバレあり
チェックしていなかったので、実際に劇場で観て初めて知ったのだけれど、今回も、これまでとは違う監督さんだったのですね。
昨年より、今年の方が、私としては好みに合うかも。
昨年は、過剰に映像が凝っている感があって……。
で、映画の内容ですが、まぁ、簡単にまとめると
全体的には大変楽しめたけれど、ツッコミたい部分も多数あり、
というある意味
ほとんどのコナン映画に当てはまる感想、
ということになる。
今回の大きな売りである
・初の、海外を舞台としたストーリー
・キッドと京極大活躍
・園子と京極のラブストーリー推し
という辺りは、まぁまぁ満足(ただし、大きな不満点も一つある! それは後述)
だが、推理物としては、かなり首をかしげる部分が……。
第1の事件である シェリリン・タン殺害事件。
トリック自体は、そこそこ面白いもので、これ、ちゃんと見せれば、推理物としても十分面白い映画になった気がするのですが、いかんせん、脚本、演出共に、推理物として面白くしようという意図がないようで、観客に対し
・さて、この事件は、こういう部分が不可解なんですよ?
・怪しい人物は、これこれこういうメンバーですよ?
・でも、その人物は、こういう理由で犯行は不可能なんですよ?
という、要素の提示がほとんど行われない。
こういうのは、警察関係者やコナンが、何度も何度も繰り返し検証し、その度に観客にも要素が提示され、観客も一緒になって推理するから、謎解きシーンが面白いのである。
ちょっとは観客にも、考えさせようよ。
今回、そういうことは、もう放棄していたようで。
第2の事件である レイチェル・チェオング殺害事件。
キッドが罠にはまり、殺人の濡れ衣を着せられる、という、ストーリー面での面白さはあるのですが、あまりにもトリックがガバガバ。
警備厳重な宝石保管庫に、キッドが警備会社社長秘書のレイチェルに変装して忍び込んだら、台座の部分にすでに殺されたレイチェルの死体があった。
よりによって、監視モニターはキッドがダメにしていたために、真犯人は分からず、侵入したキッドが犯人と誤解され……。
で、真相は、警備会社の社長であるレオン・ローが犯人だった。
社長だったから、警備の人がいても、出入りは自在だった、ということなんだが……。
いや、無理でしょ。
たとえ出入り自由でも、殺人を行う以上、殺されるレイチェルと、犯人のレオンは、一緒に宝石保管室に入ることになる。
当然、警備の人はいる。
部屋に入ったところで、レイチェルを殺害し、部屋から出たら、警備の人に「あれ? 彼女はどうしたんですか?」と聞かれるに決まってんだろうが!
監視モニターはどうする?
当然、「いつキッドが監視モニターをダメにするか」なんて、予想はできない。
それに犯行時間を合わせることなんかできない。
二人で保管室に入る時だけ、モニター室に「ちょっと監視モニターを切っておいてくれ」と言う? で、二人で入って一人だけ出てきて、「もう監視モニターをつけてけれ」と言う?
もうそれ、自白に等しいだろ!
また、キッドがいつ侵入してくるかなんて分からないので、おそらく犯行は何時間も前に行われている。
死後硬直はどうすんねん!
彼女の死体は、狭い台座に閉じ込められていた不自然なポーズで固まっちゃうって!
なんかもう、無茶苦茶。
そして、まるで全ての真犯人であるかのように演出されたリシ・ラマナサン。
第1の殺人にも、第2の殺人にも、全くかかわっていない……。
いや、ある意味、これは新しかった。
正直、コナン映画を見る観客の90%は特に真面目に推理などせず、何となく雰囲気での推理物を楽しんでいるだけだと思う。
でも、真面目に推理はしなくても、「この人が真犯人かな~」と、ちょっとだけ、頭に思い浮かべたりはしながら観ると思う。
で、今回の場合、
・レオンが犯人と予想しても(第1と第2の殺人の実行犯にして、全体の事件のほぼ首謀者)
・レイチェルが犯人と予想しても(第1の殺人の実行犯の一人)
・リシが犯人と予想しても(第1の殺人にも第2の殺人にも関わってなんかいないけれど、全てを知っていた悪役として、最後演出されたから、真犯人ぽいムードの人物)
・空手家のヘッズリを犯人と予想しても(犯行グループの一味だった)
誰を犯人と予想しても、ほぼ当たる。
やっぱり、予想が当たった方が、観客の満足度も高いでしょ?
その点、今回の映画は、観客の99%が
「この人が犯人なんじゃないかな~と予想していたら、当たった♪」
という感想を抱けるという、夢のような推理物
いやホント、新しい、観客満足度の高い、推理物の形なのかもしれない。
(ジョークや皮肉で言っているんじゃなくて、真面目に言ってます)
最後に!
園子と京極さんのラブストーリーはまぁまぁ良かったんだけど、
京極が、「園子さん、その服装はちょっと……」
と園子のファッションに苦情を言い、
園子が「ええ~、別にいいじゃん」
と答えるやり取りは、入れて欲しかったです。
そこが不満!……ってか、必須やろ!? このやり取り! 今回は!
園子と京極のラブストーリーじゃろ?
こっちは「どこでこのやり取り入れてくるかな~?」と楽しみにしていたのに(もちろん、プロの仕事として、最高に効果的なところで入れてくると信じて、期待していた)!!!
一番期待外れだったのは、推理物としてのガバガバな所じゃなく、ここでした。
あ、でも、今回は、去年に比べて、圧倒的に楽しめました。
それが素直な感想です。