長い長い昭和の御代。軍部の台頭から竹下内閣に至るその治世の中でも、戦後史に焦点を当てたのが『昭和の青春』である。ある程度の年齢の方々にとっては懐かしさに満ちた内容であろう。

 安保闘争、学園紛争、高度経済成長下の企業の発達、公害問題。戦後の激動の時代が鮮やかに蘇ってくる。若い人たちには信じ難い、衝撃的な内容も多いことだろう。わずか数十年で社会とはこれほど変化していくものなのかと思わざるを得ない。

 令和の今、日本は国難ともいえる問題に直面している。少子化は改善の兆しすら見えず、団塊の世代は後期高齢者になっていく。国力の衰退は著しい。黙っていても拡大が続いた昭和は遥か彼方にある。今や何をしても苦しい状況である。本書でも人口ボーナス、人口オーナスという概念で説明されている。

 高齢者の方々には、高齢社会の中で世の中に最後の御奉公をしていただきたい。