余りにも悲しい、悲しいニュースだった。
信号無視の車が2台を巻き込み、保育園帰りの母子に激突。母親だけが亡くなってしまった。その母の亡骸にすがって、2歳の子供が「ママ、ママ」とすがっていたという。
嗚呼、またこういう事故、いや事件が起きてしまった。
繰り返し起こる悲劇。運転者の加齢、過労、飲酒・・・。多くの結果に対する想像力の欠如が、辛すぎる結果を突きつけていく。
産まれたとき、初めてお父さんになった旦那さんは、そのか弱き笑顔を見つめてほっとして、喜んで、色々な夢を見ただろう。
その子が初めて目を開けて、初めて寝返りをうって、初めてずりはいをして、初めてハイハイをして。
離乳食を食べてにっこり笑って、固いご飯に驚きながらモグモグをして、スプーンでカレーをすくって口に運んでにんまりして。
右手と右足を一緒に出して小学校の入学式に入場して、授業中に元気よく手をあげて、放課後は買い食いをして母親に怒られて。
少女はやがて恋をして。大好きだった人と結ばれて。その人の子供を宿して。
元気で産まれてくれればいいな、自分の血圧が上がってきた心配だな、でも旦那さんの笑顔がみたいな。子供を届けてあげたいな。
だから、頑張る。頑張って元気な子を産むんだ。心配ない、家族みんなで頑張れる。
そして、産まれた。我が子を見て、不安そうに喜ぶ夫を見て妻は強くなる。大丈夫、頼りにしてますから、と。
こうして、血の繋がりは続いていく。遠い未来まで、自分の記憶を持っていく。
その繋がりを、無情に断ち切る事故があとを絶たない。その現実を前に、私は立ちすくむことしかできない。
そして思う。多くの人が、私と同じく呆然としてほしいと。行動する前に、感じ取ってほしいと。
親。
子。
そして自分。
どれもこの世からいなくなってはいけない。
お母さん、我が子の未来を見届けたかったでしょう。涙が出てきます。
心からご冥福をお祈りします。