[士官学校物語] ワニ夫て誰だ? | シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~
※この記事は過去記事の再構成です


諸君、ご壮健かな。



武蔵野うどん。

一見すると普通のうどんだが、食べてみると太くてコシがすごいあるうどんだ。



うーん、うまい。

人に当てはめてみる。
太く短い人生。細く長い人生。どちらも否定しないが。あの士官学校(大学)時代の異端児。

乙。
あいつは太く長い人生を送っている。薄いけど。

しかし彼のごとき周りを気にしない剛の者でも、例外はある。

バッタにカマキリ。
ハエにカエル。
舛添に片山さつき。

そう。
いわゆる天敵というやつだ。

彼にとっては、先日のエピソードで、自らのハニーをさらわれたあいつ。

ワニ夫。
※ひとさらいのエピソード➡こちら

この男にかかると、西洋人を前にした明治時代のおじいちゃんのごとく、乙はおとなしくなる。

それでは、語ろう。ワニ夫のストーリーズ。


_______________



「10円」

ワニ夫はそういうと、手のひらを反り返らせて広げ、乙にせびる。

乙「は?」
ワニ夫「だから10円」

ワニ夫はそう言うと、さらに右手の手のひらを乙の眼前につき出す。

乙「なんで?」
ワニ夫「タバコ買いたいけど、10円足りないの!」

腹立たしそうにため息をついて、ワニ夫は吐き捨てた。乙は怯えた顔になり、10円を渡した。


しばらく時間がたつ。

粗食配給所(学食)でデブ製造フード(ラーメン)を食べる私に、乙は眉間にシワを寄せてつぶやいた。

乙「悔しいよ!」
シャア!「なにが?」
乙「ワニ夫に10円とられた」

私の隣に反り返って座るビーチャがポツリ。

ビーチャ「渡したの?バカみて」

乙は屈辱に顔をしかめる。

乙「悔しいよ!シャア!、悔しいよ!」
シャア!「……ふーん」

そこに、なんとワニ夫がやって来た。

な、なんなのだ!?どこかで聞いていたのか?愚痴を垂れ流していた乙に、制裁を与えるのか?

別にいいけど。いや、どうせならボコボコにしていただきたい。


ワニ夫はドッカと乙の隣に腰を下ろす。そして、左手をつき出してきた。


私の前に!!!


ワニ夫「スピリッツ」

そう、私は当時は毎週、週刊少年スピリッツを購入していた。そしてその日は発売日、私のカバンには、まだ読んでいないピカピカのスピリッツが入っている!

ワニ夫「スピリッツ」

私の中でなにかが弾けた!そう、やってやる!やってやるよ!

私は口を開いた!


シャア!「まだ買ってないよ」


ワニ夫は一瞬、止まった。しかし少しすると、その手を下げた。

ワニ夫「あ、そう」

そう言うと、ワニ夫は立ち上がって去っていった。


乙「ありがとう」

お前なんかに感謝されたくはないけど、ささやかな抵抗には成功。


ビーチャは机に突っ伏して爆睡。








(過去の士官学校物語 )