トイレット戦争は仁義なき戦いです② めぐりあい 編 | シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~
※この記事は過去記事の再構成です


諸君、ご壮健かな。


さて、前回の続き。


私は淑女が格闘しているであろうトイレットの前で。
あの激闘を振り返っていた。

紳士の我慢強さが光り。
淑女の攻撃力も際立っていた。

まさに平成の名勝負。

あの激闘は。
間違いなく私の中で数え歌として刻まれたであろう。

素晴らしい余韻。
その痺れるほどの波動は、長く続くわけもなかった。


タッタッタ。

足音がする。
私は現実に引き戻され、音の主を見やる。


嗚呼、神よ。
よりによって。

そこには。

控えめなオーラを漂わせた。
うつむき加減の青年。

痩せた、南海キャンディーズの山ちゃんといえばいいのだろうか。


(青年、いけない!そこにはとんでもない魔物がいる!)

私は心の中で叫んだ。
本当には叫べない。

なぜなら私はチキンライスだから。


山ちゃんは、なにも知らずに。
ドアノブに手をかける。

(おい、待て!)

私は身を乗り出す。

気がつけ山ちゃん!
シグナルは赤だ!


そんなテレサのごとき高尚な祈りも。
無惨に消えていき。

山ちゃんはドアノブに手をかけた。



ガチャ。

なんという控えめな回し方だろう。
小さな音が店内に響く。

私は固唾を飲んで見つめる。


静かだ。
なかに巣くう魔物は物音ひとつ立てない。

よかった。)


しかし、このまま終わるわけもない。




つづく