(近況報告)三鷹の太宰治文学サロンに行ってきました② ~シンクロ~ | シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~

諸君、ご壮健かな。



※今回の記事はあくまでも私見です。

 シャア!の勝手な想像なので、ご容赦ください






太宰治文学サロン。



シャア!が携帯を構えていると。

中から一人の男性が出てくる。


柔和なしわが刻まれたその笑顔。





ガラス扉を開けたほうが、写真がきれいに撮れるよ、と勧めてくれる。


「ありがとうございます。」

シャア!はそう言ってかるく会釈をすると、中に入った。


中の展示物や、映像を見て。
太宰の心中に、少しだけ触れられた気がした。

その心に刻まれた傷。
それは、あの戦争。


太宰は「ここは東京市と違う。」
そう言って、田園の続く三鷹村に引っ越してきた。

そこで、意欲的に執筆活動をする。
まさに、絶頂期。

しかし、戦争がはじまり。
その心に影を落とし始める。




シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~

三鷹は軍需工場ができて活気に沸き立ち。
そのために、空襲に遭って焼け野原になる。

そして、太宰が疎開をした後。
戻ってきた三鷹は、別世界だった。

それに絶望する太宰。
しかし作品はヒットし、カリスマに祭り上げられ仕事は増大する。

繊細で弱い太宰。
でも一人歩きする戦後のカリスマを演じる太宰。

その狭間で、太宰は演じ。
そして、壊れていく。

そして、最後はすがるように山崎富栄と恋に落ち。
そして、玉川上水に飛び込む。


この感覚。



シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~
シャア・アズナブルにつながる。


不思議な感覚。

武者小路実篤に触れた時 にも思ったが。
小説家の生涯を考えると、必ずシャア・アズナブルに行きつく。

シャア・アズナブルは。
戦闘という分野では誰をも凌駕し。
その名前は多くの人を引き付ける、まさにカリスマ。

しかし、最後はララァ・スンやナナイ・ミゲルといった女性たちに子供のようにすがり。

そして。

それを糧とするように。
カリスマを演じたまま、スペースノイドの星として散っていく。

彼らの共通の行きつく先。

自らの死。



シャアも太宰も。
死だけは、自分の心に従った。

これは、期待で窮屈になった自分の人生への。
最期にして、最大の反抗。



シャアに恋して ~デスラー総統のロマン航路~
シャア!は昔から思う。

思い悩んでしまう人が、自分をさばさばしていると言う。
あっさりしている人が、優しい人間だと言う。

でもそれは、「嘘」をついているのではない。

それはあくまでも人間の防御本能。
自分の弱点を隠そうという心理の表れ。

それは人間の成長しようという気持ち。
自分の弱点を克服しようと言う心理の表れ。

心の均衡をそれで保っている。

しかし、太宰は自分と向き合うあまりに。
本来の自分を認めてしまったのではないか。


弱い自分に気がつき自覚きながら。
それでも演じねばならない。

仲間に囲まれて、楽しくお酒を飲む自分。
着物を乱暴に着て、強がる自分。


でも、弱い自分。


そこには、かつて楽しい話をしていた思い出があるのに。
同じように酒を飲んでも、砂をかむような言葉にできない孤独。

そこにもう心がないから。
目の前の酒の友も、モノクロに見える。


そう思った時。
太宰の中で、何かが切れた。


太宰が執筆した、小料理屋の跡地。


この前の道を。




太宰は死する日に歩いた。


それは6月の雨の日。

咲いていたであろう、紫陽花の道を。
太宰がよくお酒を飲んでいたという、思い出が詰まったこの道を。

彼はどんな思いで歩いたのであろう。
シャア!は思いをはせる。



路地をのぞいている。



きっとその日の道も。


たくさんの温もりが詰まっていたはず。

でもそのぬくもりが苦しい。


それを上書きしようと、富栄とともに。
彼女のぬくもりとともに太宰は歩いていった。


その心を考えたら。

心がチクリと痛んだ。










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