2019年 追記・修正
諸君、ご壮健かな。
以前、実社会にいたらと考えてみたら 、意外と弁護が多かった男。
ハサウェイ・ノア。
仲間であるチェーン・アギを打ち殺したことで、相変わらず大嫌い論が主流であることに変わりがない。
しかし、今までの実社会にいたらと想像したキャラクターたちと違い、弁護の声も少しあった。
そこで今日は「彼が実社会にいたら」を頑張って弁護の視点から述べてみよう。
まずひとつの要素として、彼はあの衝動的な蛮行まで、極めて常識人だった。
思いを寄せるクェス・パラヤがわがまま一杯にラー・カイラムを闊歩しても、彼は注意こそすれ同調しなかった。
さらに、彼女がシャア・アズナブルのもとに走っても、ギュネイ・ガスのように偏執的な嫉妬に燃えることはなかった。
次に、少年にとって恋愛は最上位にくる点。
さすがに二十歳を回ってそれでは社会に適合するのは難しいが、少年にとっては閉ざされた学校生活が全てなのだ。
そんな未熟な人間が、突然大人の世界に放り込まれて、ましてや戦争という異常な時代。戦場でどこに重きを置くかなど、幼い少年には理解出来ないのも、無理はない。
これを前提に、実社会に当てはめてみる。
実際に、現代社会で異常な世界に身を投じたとして考えてみよう。
彼は、普通の家庭で育った少年。だが芝居には自信があり、芸能界に飛び込まんと劇団に入った。
しかし、そこには自分より芝居が上手い人がたくさんいた。追いつかんと必死に演技トレーニングをするその時、同じ夢を持つクェスに出会った。
ハサウェイは、クェスに恋をする。だが彼女は、大物俳優シャア・アズナブルの勧めで、ライバル事務所に移籍してしまう。
天才に触れることで、クェスは花が開いた。
彼女の活躍で、ライバル事務所は大きくなっていく。その状況に危機感を覚えた、営業部長のチェーン。クェスのライバルとして、同じタイプの女優をとことん営業。
そして、散々滅多うちにあったクェスは、悩んで発狂する。
さてこうなったら、ハサウェイはどうする?
好きなクェスを、手段をえらばず発狂に追い込んだチェーンを責める。ライバル会社とはいえ、クェスは友なのだ。
ここまではすごく共感するポイント。チェーンを憎むのもわかる。
しかし、芸能界は生き馬の目を抜く世界。
やらねばやられる。チェーンだって、負けたらその座を奪われるのだ。
冷徹な社会の仕組みを理解すれば。
チェーンの立場を理解すれば。
きっと許せるはず。
理解できる大人ならば。
ハサウェイは、その世界の常識を知らずに、修羅場に放り込まれた。だから、幼い自分の尺度で懸命に計って。
報復する。
彼に教えなかった、大人が悪い。一生懸命生きたのだ。チェーンに、それを理解できる許容力があれば……。そう思いかけて。
彼女も若すぎたのだ。
結論。
もし現実社会に彼が存在したら、と弁護気味に考えてみたら。
ハサウェイが15歳以下という条件付きで。
学生時代の私なら、共に成長したい。
今のオサーンな私なら、自分の経験した社会を懸命に伝えたい。
自分のつまらない人生でも、苦しむ少年の助けにになるものが一個くらいはある、そう信じたいのはみんな同じ。
それは去り行く老兵の、幻想にも似た自らへのわずかな期待なのだ。
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