思わず言っちゃった。そう。ここは寿司屋。この店に入ってから30分たった。大将の握る寿司はどれも格別で箸が止まらない。「大将。ウニを頼むよ」「…………」大将は黙って握る。この30分大将の声を聞いていない。職人ってのはこうでなくっちゃ。なんて思う人もいるんだろうけど、私はそうは思えなかった。ずっともやもやしていた。もやもやしたまま会計の時間がきてしまった。「大将。おいしかったよ。でももうお腹いっぱいだ。ぶあいそして!」あ。つい言っちゃった。