サイゴン?一人旅3〜おでかけ三昧海外編 vol.52〜 | ガムラがいるよ

サイゴン?一人旅3〜おでかけ三昧海外編 vol.52〜




セーラー服おじさんはどうやらホーチミンにある某ショッピングモールのイベントに出演する為に来ていたようです。そしてその後セーラー服おじさんが意外に若い事実を知り、


荻野さん「俺より年下なのっ!?うっそだよっー!!


荻野さんが衝撃を受けてらっしゃいました。いや我々も衝撃のプロフィールでしたよセーラー服おじさん。




第八章 : 隣のシンシンジャ


ホテルに戻り翌朝早くからファングーラオ通り(Đường Phạm Ngũ Lão)に向かいます。なんせこの日は思い立って遠出する事にしたので。

ファングーラオ通りバックパッカー街、お土産屋、両替商、バーだの安ホテルだの、飽きなければそこだけで事足りてしまうほど何でもあります。もちろん旅行社も。

前日ネットで調べたFUTA BUSの乗り場に向かいます。ファングーラオ通りをブラブラしてたら見つかるオレンジ色が目印の観光バス会社です。

このFUTAバスに乗ると、ヘタしたらベトナム中の行きたい所ほとんどに行けます。時間さえ許されるならどこまでも行っちゃえる人間中央郵便局のような場所です。

この日俺はとうとうリゾートなんぞに行ってやろうかと思い立ちまして、ホーチミンから約2時間程度で行けてしまう地元感バリバリリゾート、

ブンタウに向かいます。




FUTAバスのチケット。ブンタウまで片道600円もあれば行けちゃいます。


日本に帰国してから乗り場が変わってしまったようですが、俺が行ったこの頃はファングーラオ通りから直でバスに乗り込み、プチ長旅はスタートしました。

平日だからか車内はそんなに混んでない。初耳過ぎる地元の音楽が流れっぱなし。
乗客はやはり海沿いの街に行くからかうっすらテンション高めに見える、親子の笑い声が車内の音楽に混じって聴こえる。楽しそうだね、


一人を除いては。




乗ると同時に渡されるオリジナルのミネラルウォーター。謎の虫の卵が張り付いてた。


『ただ一人を除いて』

俺じゃない。俺の隣に座る兄ちゃんです。
俺と同じくたった一人でバスに乗り込み、黒いキャップを目深にかぶり、乗車したそばから腕組みに寝始める。
黒いTシャツに黒いキャップ。その顔は妙に暗く、リゾート地に行くようなテンションは見られない。

俺「まぁリゾートっつっても地元の住民もいる訳だからな。ひょっとすると仕事で向かうのか仕事が終わって帰る所なのか。でも一人だけなんか物寂しそうだな。」


後ろから数えて3列目の右の窓際には黒いキャップの俺。
左側の窓際には黒いキャップの兄ちゃん。

車内で黙りこくっているのはこの横一列だけ。まるで無言の力で後方の座席を守る結界を張っているかのよう。

バスは大きな川を越えドンドン南下して行きます。





途中立ち寄る休憩所。


ふいにバスが停まる。どうやら休憩タイムのよう。皆笑顔で降りて行きます、
・・・あの兄ちゃんを除いては。


この休憩所、とても雰囲気がいいです。まさにって感じの場所。
広い店内、高い天井、フードコートのようにテーブルが並び、ジュースや地元のパンや焼き菓子が売られています。
もの凄く開放感があって、ちょうど良く賑やかで、ちょうど良くのんびり。ガソリンスタンドを居抜きで食堂にした感じです。





天気がいいから外からの日差しだけでいい感じの雰囲気。



ちょい奥の食堂も清潔感があっていい。基本ベトナムって綺麗だよね。


特にはらも減ってなかったので、歩道に出てタバコを吸おうとすると、


俺「あ。」


さっきの兄ちゃんです。皆とは離れて一人しゃがんでタバコ吸ってました。

他の乗客も運転手も皆食堂で思い思いの朝食をとっているのに、この兄ちゃんだけ過ぎ行く車を目で追いながらしゃがんでいました。

俺「へへ・・同じ一人旅の喫煙仲間だ。ちょいと声でもかけてみっかな・・・。」

そう思い近づいた瞬間この兄ちゃんは、

その内なる熱きモノを
背中で語りかけてきました。





きさまの執念など
そんなものか
ーシン(北斗の拳より)ー



俺「よりによってシンかよ!!意味分かってんのか!?


一緒に居てハート扱いされたくないので離れてタバコ吸いました。
そうか、兄ちゃん。アンタの寂しげな表情はユリアを思っての物だったんだな。

・・・

・・・

・・・

んな訳あるか。