「さてと、話を聞きましょうか?」
「…でも仕事あるでしょ?」
「今引き継いで来たし、今日は暇やし、皆にも好きなだけ話してこいって言われたで大丈夫」
「…先生にもNSTモニターこのあと取ってねって言われたよ?」
「先生に確認したら、急いでないって言ってたで大丈夫」
「…………あんまり楽しい話じゃないよ?」
「大丈夫、大丈夫」
5分の間に完全に外堀は埋められていた
これはもう話すしかないかなと諦め、今日起こった出来事を順に話す。
「はぁっ?
誰や、その腐った助産師⁉️」
「いや、でも誰でも間違えることはあるし……それを流しきれない私が悪いんやないかなと…」
あまりの剣幕に私が何故か嫌な助産師さんをフォローする
「そらね、誰だって間違える。でも世の中には間違えたらいかんことがあるよ。これは間違えたらいかんレベルのことだよ。辛い思いさせたなら、なおのこと……
妊婦さんと赤ちゃんを守るのが私らの仕事なんだよ。私が腹立ってきた」
そうか……怒って良かったのか
いつもいつも、入院して何ヵ月も迷惑かけてるのだからワガママは…言ったらダメ、苦情なんて言えないって、我慢して我慢して、ここまで来たけど。
そう思ったら、何だか泣けてきた。
Aさんは泣き止むまでそばに居て、背中をさすってくれた。
「雪さんは溜め込むタイプやでなぁ…もっと言っても良いんだよ?助産師に嫌なことされたなら教えて欲しい。私たちも成長していかないかんでね」
苦情は、自分たち成長に繋がる
その言葉に今まで溜め込んだものを、一つずつ、すべて話すことができたのだった。