毎年、この時期になると
『ハナちゃん、今年もマルガリータかな…』
家族の間で相談していたのはこれ。
ハナコ大先生の丸刈り。
とは言え、サマーカットなんて小洒落たものじゃなくて。
この時期になるとカイカイが始まるから、患部も見やすくなるし、薬も塗りやすくなるし、頻繁にお風呂に入れてもすぐ乾く…という理由から。
何事によらず、愛犬の見てくれをキレイに可愛く演出するなぞ、まったく関心無いもので。
とはいえ、ハナコにとっては迷惑千万だっただろうなぁ…。
ハナコに申し訳ないとは思っていたんだけど。
動物病院併設のトリミングサロンで、1日がかりで丸刈りにしてもらって帰宅すると…
お疲れのハナコ大先生。
そして、離れた場所から、そんなハナコ大先生を観察する、鋭い目つきのこのお方。
見慣れない姿に、嗅ぎなれないシャンプーの香り。
そりゃ、ライムちゃんには不思議でしょうがなかっただろう…。
ハナコがお庭の奥に
『ハナちゃんチッチ～』
なんて行こうもんなら…
すかさず追い回して、ニオイ嗅ぎまくりだし。
いつもはハナコについて歩かれて忌々しげなライムちゃんが、年に1回ハナコ大先生につきまとう数日間。
当然、ご機嫌麗しくなくなるハナコ大先生。
ハナコが振り返って、
『ンガ～！
ンガ～！
ンブブブ～！』
って怒っても、お構いなしにつきまとうし。
さすがストーカーライムちゃんの本領発揮というべきか。
望まない丸刈りにされた上に、ライムにつきまとわれてニオイ嗅ぎまくられて。
ハナコ大先生にとっては、文字通り、とんだ災難だっただろうなぁ…。
あの世でハナコに再会できたら、ちゃんと謝らなくちゃね。
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