去年の5月の写真。
連休のお出かけは、外房から福島県の南相馬へ。
国道6号線をひたすら北上する旅だった。
この写真を撮ったのは、福島県楢葉町の
「道の駅ならは」
と、
「道の駅南相馬」
の間のどこか。
正確な場所は、今となってはわからない。
当時は、国道6号線は通行できたものの、帰宅困難地域が広範囲にわたっていた。
震災当時の姿のままの建物も、国道路沿いに数多く見受けられた。
人のいない町の上にも抜けるような青空が広がり、耕作できなくなってしまった田畑は草に覆われていて、雲雀の声だけが聞こえていた。
この、一面の菜の花は、国道6号線を北上中に偶然通りかかって、降りてみた時の景色。
NPO法人が、耕作できなくなった農地に菜の花の種を蒔く活動をしていたらしい…。
そういえば、チェルノブイリの原発事故の後には、土壌の浄化作用がある(んだったかな)ひまわりを、たくさん植えたって話を聞いたことがあったっけ…
なぞと思い出しつつ。
お昼寝中のハナコ大先生をカッパ号に残して、まずはライムちゃんのお散歩へ。
夢中でニオイ嗅ぎまくるライムちゃん。
あたりに人影はないけど、きっととり残されてる犬や猫をはじめいろんな動物たちもまだ、この付近にいるんだろうな…
その子たちは、どうやって糊口をしのいでいるんだろう…
カッパさんとしんみり、そんなことを話していた傍らで。
ライムちゃんは一人、こんなことをなさっているし。
目も見えないしお耳も聴こえなかったハナコ大先生だけど、きっと菜の花の香りや、空でさえずる雲雀の気配は感じとってただろう…
広い場所なんだから、交代でニオイ嗅げばいいのに、相変わらず1か所を取り合いしながら嗅いでるオババワンコ達。
カッパさんに連れられたライムは、しばし周辺を散策。
そして、ハナコ大先生は…
菜の花畑を眺めやりつつ、オノレの来し方行く末に思いをはせる…?!
晴れた春の午後を、ハナコと一緒にのんびり楽しんだ、かけがえのない思い出。
たぶん、もう二度と出会えない景色。
あまりに静かであまりにも色鮮やかで、それ故にあまりにも空虚な感じがして。
この景色を見ながら唐突に思ったのは、私たち家族がここにいようといまいと、日は照り雲雀は鳴いて菜の花は咲いて…。
人間がいてもいなくても、この地上の生き物たちの営みは、きっと変わらないんだってこと。
なのに、人間は、あまりにも多くの生き物を、いとも簡単に踏みにじってしまった。
絶対に忘れてはいけない事は、この菜の花たちは、あまりにも多くの犠牲の上に広がっているのだということ。
あとどの位の年月を経れば、この景色が広がる前の、豊かな耕作地が再び取り戻せるのか、私にはわからない。
それほどの犠牲を払って、いったい何が残ったんだろう。
唯一私にわかることは、ハナコが彼岸に渡ってしまった今、私たち家族が揃って再びこの景色の中に立つことは、もう二度とないのだということだけだ。
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