車で待ってるだけだよ』
と言い聞かせても、どうしても行くのだと言い張ったライムとハナコ。
大はしゃぎのライムと、ご機嫌な笑顔のハナコ大先生。
ふと見ると、助手席の後ろから、なんだか楽しげに前を見ているし…。
ウチの子になったばっかりの頃は、お出かけの時にはよく私の膝に載って、窓の外を見ていたっけ。
眠くて眠くて、寝ちゃった後も顔だけは窓の外に向けていて。
きっと
『ハナちゃん、さっき、寝ちゃってたね』
って聞いたら、
『違うよ!
ハナちゃんずっと起きてて、窓の外見てたもん』
って言いそうなくらい、一生懸命車窓の景色を見ていたっけ。
左目は緑内障で失明しちゃったし、右目も白内障でほとんど見えなくなっちゃったハナコ大先生。
でも、玄関の三和土に降りる段差は、毎回慎重に目を凝らして、注意しながら自分一人で降りてる。
そばで見てるとドキドキしちゃうけど、自分で考えながら、注意深く行動するのは、認知症の進行を遅らせるのには効果あるだろうと思うし。
一昨年の元旦に、急に具合が悪くなって、文字通り死にそうになっちゃったハナコ大先生。
頸にできたグリグリのイボは、幸い両性だったけど、何回か破裂して血塗れになって、人類一同大慌てになったり。
去年の夏には気管虚脱も発覚して、またまた人類は大慌て。
もう、身体能力は、衰えていく一方だろうけど、それを受け入れないといけないのかも…
なんて、諦め始めてたけど。
昨日の朝、玄関の三和土に降りて、お水を飲んだハナコ大先生。
玄関の上がり口に両手をかけて、後ろ足で三和土を蹴って
『えいっ!』
とそのまま自力で玄関に上がった!
古い古い日本家屋だから、人に優しくない造りになってるし、玄関の段差は実に50㎝以上の高さ。
この2年あまり、上り下りには必ず踏み台を使ってたハナコ大先生。
こうして玄関にひょいと上る動作を見せてくれたのは、2011年の暮れ以来だ…。
病気の問屋みたいな、ハナコ大先生。
でも、ハナコ自身は、何一つ、まったく諦めてなんかいないんだね。
昨日踏み台無しでは上れなかった段差も、今日はひょいと上がれるようになってるし!
なによりもうれしいのは、ハナコ自身が
『できるかも…。
やってみよう』
ってチャレンジしてくれること。
老犬だから…
目が見えないから…
先回りして、手を貸してしまうのが常だけど。
それは、ゆっくり慎重に行動するハナコを、待ち切れずにおせっかいをする私の言い訳。
どうして待ちきれないのか…といえば、たいていはつまらない理由。
「会社に遅刻しそうになる」
っていうなら、もっと早く起きりゃいいだけだし。
ライムとハナコと一緒にいる時間を、もっと大事にしなきゃ。
せかさないように、そして、おせっかいもほどほどに。
せっかくのこの子たちの小さな小さなガンバリを、無にしてしまうことのないように。
でも、絶対に危ない目にだけは遭わせないで。
幸いなことに、ライムちゃんに関しては、
『最近、以前よりも良く寝るようになったね…』
くらいしか、加齢による変化はまだ見えてない。
いや、たぶん、いろんなサインはあるんだろうけど、きっと気づけてないんだろうな…。
ハナコは、明らかに、年齢とともに衰えていく体力が見て取れる。
でも、その一方で、ハナコ自身の好奇心やがんばりで、
『もう、できなくなっちゃったね』
って思ってたことが、またできるようになってたりする。
本当に些細なことだけど、ハナコ自身がまだ、自分の犬生に対するファイティングポーズをとり続けてる、ってことの大切な証。
もっともっと、注意してウチの子たちを観察しなきゃ。
目先の出来事に追われて、本当に大切なものを、うっかり見落としたりしないように。
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