山村は暫くの寝床にしていた廃ビルを出て、空を見上げた
空は怪しげに紅く光っている
三ヶ月前からそうだった
もはや朝から夜かもわからない
この三ヶ月であまりに多くのものを失った…
こんな日々が続いたんだ、黄昏たくもなる
ふと空を見上げると、もはや形が分からないほど霞んだ太陽が燦々としていた
そして視界の端に何か-いやアレは…

まずい、奴らだ。

俺は咄嗟に身を隠した。
2mはあろう体躯に二対の翼、顔は人間らしいものではなく、各々が乱雑に幾つかの動物を融合させたような異形だった。
俺は奴らを天使と読んでいた。
あの忌々しい光と共に三ヶ月前に現れたからだ。
我ながら些かロマンチストがすぎるとは思うが。
天使たちは人間を見つけ次第殺戮を繰り返した。
幸いにも目はあまり良くないらしく、暗がりに隠れていればやり過ごせるのだが…
気付いた頃には人類の9割は死滅していた。
ここ数週間で出会った人間の数は片手で数えれるほどだ。死体をあわせれば両足を使っても足りなくなるが。

山村はポケットから菓子パンを取り出すと、むさぼった。
賞味期限は先月。最後の食料だった。