山村は大きく欠伸をした。
目を開いても暗がりはその色を保っていた。
今は何時か…
あたりを見渡したが、参考になるようなものは無い。
のそりと起き上がり、大きく伸びをする。
そろそろ移動しなくては、と呟いた。
あまり同じ場所にいてはならない。
この三ヶ月間で彼はそう学んでいた。
そう、あの日、終末時計はその役目を終えたのだった。
あの日はなんでもない日だった。
キャスターが今日の晴れを告げるのを横目に朝食のハムエッグを食べていた。
「そろそろ行かなきゃ遅刻よ」
母さんが俺を急かす。
「分かってるって」
今の時間帯なら、朝礼には遅れるが授業には間にあう。何も問題はないだろう。
そう思いながらハムエッグを食べようとした時、テレビ画面が切り替えられた。
ニュース速報だった。
地震か、事件か…
ただことでは無いのだろう、ニュースキャスターではなく、総理大臣本人がテレビに映っていた。
青ざめた顔の今田総理が口を開く
「本日、北極点付近でーー
その言葉を最後まで聞き取ることは叶わなかった。
彼が伝えたい事はおそらく、あの光のことだったのだろう。
2028年12月24日8時46分
世界は圧倒的な光に呑まれて、終焉を迎えた
長きに渡った人類の文明は、10秒にして崩壊したのだった。