「1番優秀です!」〜場所が変われば、人はこんなにも変わる〜 | 親と私の生きた道と介護
新しい施設に移ってから、わが家に不思議な「静けさ」が訪れています。
あんなに毎日のように鳴り響いていた、前の施設からの電話が……なんと、一本も鳴らないのです。
以前は「あれ持ってきて」「母がこんなことで困らせていて」という電話に怯え、常に携帯を気にする日々でした。
あまりの静けさに、逆にそわそわしてしまうほど。
先日、病院への送迎で施設に立ち寄った際、私はずっと気になっていたことをスタッフさんに恐る恐る尋ねてみました。
「あの……母が何か、皆さんを困らせたり、わがままを言ったりしていませんか……?」
前の施設での苦い経験があるからこそ、どうしても身構えてしまいます。
すると、スタッフさんは満面の笑みで、信じられない言葉を返してくれたのです。
「いえ!お母様、このフロアで1番優秀ですよ!」
一瞬、耳を疑いました。
これまで母のことで褒められたことなんて、ただの一度もなかったからです。
前の施設では、耳が痛くなるような困りごとばかりだったから。
嬉しさと驚きが爆発した私は、さっそく母の元へ駆けつけました。
「お母さん! 施設の人がね、お母さんのこと『このフロアで1番優秀だ』って大絶賛してたよ!!」
母を、これでもかというくらい褒めちぎりました。
「恋だ、愛だ」と楽しそうに語り、頑なだったオムツを1枚減らせたのも、すべて母がこの場所で「優秀に」、そして何よりリラックスして過ごせている証拠だったのです。
「場所が変わるだけで、人はこんなにも変わるものなのだろうか」
今、しみじみとそう感じています。
お母さんが悪いわけでも、前の施設が悪かったわけでもなく、ただ「合う、合わない」があっただけ。
今の施設は、母の荷物の多さを受け入れ、話の端々に寄り添いをくれる、最高の相性だったのです。
あんなに身を削って、ボロボロになりながら頑張っていた前回の施設。
あの時、勇気を出して一歩を踏み出し、「出戻り」を決断して本当に、本当に良かった。
お母さん、あなたにぴったりの特等席が見つかってよかったね。
これからここで、もっともっと穏やかな笑顔を咲かせていこうね。

