母が家にいた頃のお話。

母は長年、精神疾患による入退院を繰り返してきました。

そのせいか、人に身の回りの世話をしてもらうことに「慣れ」すぎていて、家族への頼み事はいつも 容赦ありません。



いえ、「頼む」というよりは、もはや「命令」に 近いかもしれません。


母の辞書には「遠慮」や「謙虚」という文字はありません。

自分が動けないのをいいことに、次から次へと用事を言いつけます。


ある日、車に積んだ大量の荷物を父が必死に家の中へと運び入れ、ようやく一息ついた時のこと。

母は平然と言い放ちました。

「財布がない!車に取りに行ってきて!」



父がやっと運んだばかりなのに、ねぎらいの言葉 一つなく、当然のように追加の命令。


そんな様子を初めて目の当たりにしたケアマネさんが、思わずこんな言葉を漏らしたことがありました。

「これだけ面倒を見てもらっていて、あんなに態度の大きい人は始めて見ました…!」


プロの介護職の方をそこまで驚かせるとは、ある 意味「本当の女王様」です。

お世話になっている意識よりも、「私の言うことを聞くのが当たり前」というスタンスを貫く母に、 家族はいつも振り回されっぱなしでした。


そんな「偉そうな母」ですが、家族の中で唯一、 私がハッキリと注意します。

「その言い方は何?そんなんじゃ手伝いたくないんだけど!」

すると、母はシュンとします。



今の施設入所への道のりもそうですが、母のこの 「強烈な個性」は、どこへ行っても周りを圧倒してしまいます。


次に会う時は、少しは「ありがとう」の言葉が聞けるでしょうか?

…まぁ、きっとまた「あれやって!」から始まるんでしょうね(笑)。