人間らしく…
トゥルーノース
(2020年/日本・インドネシア/94分)
監督:清水ハン栄治
【ストーリー】
北朝鮮強制収容所の過酷な環境で生きていく家族とその仲間たちが成長していく姿を、生存者証言を参考に描いた長編アニメーション。1950年代から始まった在日朝鮮人の帰還事業により北朝鮮に渡ったヨハンの家族は、両親と幼い妹とともに金正日体制下の北朝鮮で暮らしていた。しかし、父親が政治犯の疑いで逮捕されたことにより、母子は強制収容所に入れられる。極寒の収容所での苛烈な生活に耐え忍びながら、家族はなんとか生き延びていたが、収容所内の食料確保によるトラブルによって母が殺害され、自暴自棄となったヨハンは次第に追い詰められていく。そんなヨハンは、死に際に母が遺したある言葉により、本来の自分を取り戻していく。(映画.comさんより)
【かんそう】
清水ハン栄治監督が収容体験を持つ脱北者や元看守らを取材し、10年かけて完成させた作品だそうです。
今も20〜30万人が生活すると言われている北朝鮮の収容所。
そこでの生活を描いた本作ですが、あの中で生き延びることさえも難しいのに、「人間らしさを失わない」ようにするのってほんま至難の技よなーと思いました。
ヨハン目線で語られる母のユリと妹のミヒとの収容所生活。
毎日の過酷な労働に拷問、看守たちの厳しい監視…「生きる」だけでも大変な毎日。
あのような環境の中で「生きている」ことが不思議なくらいです。
この作品ではそんな過酷な生活にヨハンとインスの友情、ミヒとインスの淡い恋愛物語なども絡んできて、ちゃんと物語仕立てになっていましたねぇ。
家族を守るためにいつからか看守側の人間になったヨハン。
人間らしさを失わずに生きようとする母とミヒ。
表立ってはいないけど家族の溝は深まります。
ある事件をきっかけにヨハンもまた看守側から離れることになりますが…
母親が最後にヨハンに言う
「誰になりたいか問いなさい」
また、ミヒに言う
「美しいものを探しなさい」
この言葉に母ユリらしさを感じ、また、最後まで「人間らしさ」を失わなかったことが伝わってきました。
後半は最後まで希望を捨てなかった彼らが3人で脱出する計画を立て、実行に移すまで…が描かれますが、彼ら以外もみんな完全に「人間らしさ」を失っていたわけではないんだな…というのも垣間見えて、ホッとするよりは悲しくなりました。
「人間らしさ」は、あそこでは死と隣り合わせのような気がします。
ラストにまたビックリしましたが、アニメとは言え、リアリティも兼ね備えており、とても心に残る1本でした。
くうこのおまけ![]()
ミヒが亡くなった方に日本の童謡「赤とんぼ」を歌うシーンがあります。
いろんなインタビューで清水ハン栄治監督がお話されていますが、収容所には「帰還事業」で帰ってきた在日コリアンの方々、その方々について来た日本人妻、日本人夫、子供たちも(スパイ容疑で捕まり)いたそうです。また、日本人拉致被害者の方もいたとか…。
うりぼう4つ:
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2021.7鑑賞
ありがとうございました![]()
