朝が来る

なかったことにしないで…

朝が来る

（2020年/日本/139分）

監督：河瀨直美

【ストーリー】

栗原清和と佐都子の夫婦は一度は子どもを持つことを諦めるが、特別養子縁組により男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」を名乗る女性から「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってくる。当時14歳で出産した子を、清和と佐都子のもとへ養子に出すことになったひかりは、生まれた子どもへの手紙を佐都子に託す、心やさしい少女だった。しかし、訪ねて来たその若い女からは、6年前のひかりの面影をまったく感じることができず……。（映画.comさんより）

【かんそう】

苦手な河瀨直美監督作品、と思っていましたが(ようやく)観た『あん』がとても良かったので、今作も期待して鑑賞。

今回の原作は辻村深月さんなんですね。

そういえば…この作品は海外、国内でいろんな賞を受賞しているのですが、その割に、当時は上映館が少なかったなぁ。

養子縁組が軸になっているというので、てっきり永作博美さん井浦新さんたちが終始メインで描かれるのかと思いきや、後半は蒔田彩珠さん演じる出産したひかりがメインで描かれていたのでその視点が良かったです。

あと、不妊治療というとよく見かけるのが女性側が原因で、というもの。

でも今回は夫側に原因があって…という設定だったので個人的にはそれも良かったですね。

原作がそうなっているのかどうかはわからないのですが。

ひかりが妊娠してから出産、そして子供を養子縁組に出してから時が経ち…

彼女なりに折り合いをつけながらも、もがいて時を過ごしていたんだなぁ、と思うと胸が痛かったです。

ほんと、普通の中学生で、普通に恋をして…っていう学生の恋愛の流れにリアリティがあり、とても好きだったんだなぁというのも伝わってきたので。

中学を卒業したあと、男子の方は何事もなかったかのように高校生活を謳歌していて、それを影からこっそり見ているひかりを見ているのが苦しかったです。ほんの少しのシーンなのですが、とても印象に残っています。