(1989年/台湾/148分)
監督:王童(ワン・トン)
【ストーリー】
1949年国民党の兵士として中国大陸から台湾にやってきた門栓と得勝。
台湾はバナナがたくさん食べられて天国のようなところだと言われてやってきた2人だったが、得勝は共産党員と疑われて拷問の末に発狂。軍を脱走した門栓は、偶然知り合った月香と偽装結婚し、彼女の死んだ夫の身分を使って役所に就職する。読み書きが不自由な門栓は、証明書を偽造したり、困難を切り抜けながら懸命に局長まで出世する。しかし1987年に台湾人の大陸訪問が解禁されると、門栓の平穏な生活がまた揺らぎだすーー。(シネ・ヌーヴォさんサイトより)
【かんそう】
≪未来という過去 映画で知る歴史 ≫という特集があり対談やシンポジウムなどがあったりでとても興味深かったのですが結局この1本のみの鑑賞となりました。
が、この作品はきっと私の生涯ベスト(←何本あるかは謎)に入りますわ。
とてもおもしろく、「これは忘れられないなぁ…」というくらいにガツン!と私の心に響いてくれました。
監督は王童(ワン・トン)
この監督の作品は日本ではなかなかお目にかかれないんじゃないでしょうか。
何年か前に大阪吹田にある民族博物館で台湾映画特集があった時に王童監督『村と爆弾』が上映されていましたが、その時もわざわざ福岡からフィルムを借りてきました、とおっしゃっていました。
今回、シンポジウムの後に上映があったのでシンポジウムに参加されていた台湾の方が
「歴史を知るという観点から侯孝贤(ホウ・シャオシェン)監督の作品も考えましたが、こちらはもう既に皆さま方もよくご存知だと思うので、今回は王童(ワン・トン)監督の作品を選びました」
というような事をお話しされたのですが、よぉわかってはる!!(←偉そうにすんません)ほんとこれを選んでくださってありがとうございまーす!!でした。
侯孝贤(ホウ・シャオシェン)監督作品はそうなんです。
待ってても必ず日本で何かの機会で観ることができますが王童監督作品はなかなか・・・
もう・・・最高におもしろかったです。
壮大な朝ドラを観ているような感覚でした。←?
主人公は門栓と得勝。
この頃の台湾は戒厳令下の白色テロ時代。
そんな時代なのにバナナがたくさん食べられる天国だと信じてやってきた二人。
待っていたのは困難だらけの道のり。
それでも彼らは、あの手この手で時代の荒波、目の前の困難を乗り越えていきます。
その様子が本当にたくましくておもしろかったです。
物語の流れは上述の内容紹介の通りなのですが、彼らの何が何でも生き抜いたんねん、という根性が本当にすばらしい!!
なんというか・・・ガツガツしてるわけではないんだけど、彼らの本能がそうさせてる、というのかな。
動物は「自殺」という概念がないのでどんな状況でも生き残ろうとする、というのを聞いたことがありますが、そんな感じかなー
特に門栓はどんな状況でも絶対逃げなかったのがすごい!これも彼が考えて、というよりは本能のまま、流されるまま「じゃぁ・・」みたいな感じなんだけど、さすがにあんな状況だと頭があまりよくない門栓でもわかるでしょうよ~
それでも逃げ出さなかった門栓。
門栓の偽装結婚の相手の元だんながとても英語のできる人でその関係で就職が決まっていたのに亡くなってしまいます。
奥さん呆然・・・
小さな子もいるのにこれからどうやって生きて行けばええのん?!
その亡くなったところに偶然居合わせた門栓を「せや!あんた!私のだんなということで就職して!!お金稼いできて!!」と彼をだんなに見立て偽装結婚し「英語できます!」ということで就職するんだけど・・・
読み書きだって不自由な彼。
その英語だって「ちょっとはやっとかんとあかんかな」てな感じで古本屋で本を読んでたくらいの勉強量。
英語なんてわかるわけありません。
すぐばれてクビになってもおかしくないんだけど・・・でも、彼の様子に気づいていた同僚の女性がうまーく助けてくれてたんですよねぇ~。
そういう人の好さ、運の良さ、も彼にはあったんだと思います。
結局彼はまぁまぁの地位まで出世していくもんなぁ。
すごいよなぁ。
悲しい部分もあるけれど、なぜかクスクス笑えてしまうのは王童監督の手腕かな。
『村と爆弾』でもそうでしたし。
そしてそして・・・
ラストの大オチに大爆笑しました!!!
ぜひとももう一度観たい!!作品です!!
うりぼう5つ:
2017.11鑑賞
ありがとうございました