(1986年/台湾/109分)
監督:楊徳昌
【ストーリー】
朝の台北。ある場所で警察の手入れがあり、そこからハーフの少女シューアン(ワン・アン)が逃げ出す。シャオチェンは、そんな彼女の姿をたまたま見掛けてシャッターを切る。一方、ある病院で働く医師リーチョンは上司の急死を出世のチャンスと考えて浮足立つ。だが、その妻である小説家イーフェンは執筆できない状態が続いていることに悩んでいた。そんな全く接点のない彼らが、シューアンのいたずら電話によってつながっていき……。(シネマトゥデイさんより)
【かんそう】
ワニのように水面から目だけを出してすすすーっと彼らを追いかけながら成り行きを覗いていたかのようでした。
静けさと怖さが同居していましたわ・・。
1986年に制作された映画ですが、今観ても十分怖いですし、今でも十分通用するテーマだなぁ、と思いました。
まぁ、ファッションなどは80年代そのものでしたけどねー
ファッションで言えば私が一番好きだったのはこの刑事さんです♪クー刑事だったかな?
オンの時の白シャツ&グラサンがおっされー
おにぎりが欲しいんだな・・・
そして静かな映像にとても映えていたのが「風」に吹かれるカーテンだったり写真だったり、ではなかったでしょうか。
何度も映し出される揺れるカーテンにドキドキしました。
何となく不安をあおられる感じ。
物語は何の接点もないヤングな人たち(2組のカップル)と一組の夫婦のお話なのですが、あるとき、ヤングなシューアンが家にいる時、退屈しのぎに誰それ構わずいたずら電話をかけたところから、このヤングな人たちと一組の夫婦がつながっていきます。
この一組の夫婦がシューアンのいたずら電話によってどんどん崩壊への道を歩んでいくのですが・・・
夫婦の数だけ夫婦のあり方があるというのは私もわかっているつもりなので、私があーだこーだと言う立場でもないのですが、この夫婦、もしかしたらシューアンの電話がきっかけではあるけれども、遅かれ早かれああなってたんじゃないやろうか、と思ってしまいます。
しかし、シューアンの電話は夫婦を壊しただけではなく、一人の人間をも崩壊させていきます。
・・・ひぃー怖いわー
水にインクをチョンっとたらしたらじわわわわーんと広がっていくように一本の電話で事態はじわわわわーんと悪い方へと広がっていったのです。
シューアンは別のカップルをも「別れ」に追い込んでいるのですが、シューアンにしてみたら沢尻エリカさまばりの
「別にぃ」
ですよ。
だって本人はそのヤングカップルの事も、一組の夫婦の事もなーんも知らないですし、「別れてしまえー」と意識して行動をとっていたわけでもないのですから。
でも、たくさんの方が思っていらっしゃるように、誰かは誰かの恐怖分子である可能性があり、シューアンも期せずしてそうなってしまい、彼女は意識せずにこのヤングカップルと大人夫婦を見事に壊していったのです・・・。
怖い。
特にテンポよく話が進んでいくわけでもないのですが引きつけられていき、
うーわ。
うーわ。
て思いながら観ていくと、もう、どんどん
うーわ・・・
なのですが、それでもカメラは静かに静かに彼らをそーっと追い続けます。
その静けさがまた恐怖。
そして迎えた結末。
言い方はおかしいかもしれませんが見事なラストでした。
静けさを打ち破るようなラストに息が止まってしまうかのようでした。
今観ても全く色褪せない作品だと思います。
素晴らしかったです。
劇場上映してくださってありがとうございました!!
うりぼう5つ:
ありがとうございました☆