愛と友情はイミテーションではありませんでした
イミテーション・ゲーム~エニグマと天才数学者の秘密
(2014年/アメリカ・イギリス/115分)
監督:モルテン・ティルドゥム
【ストーリー】
第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)はドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は暗号解読をゲーム感覚で捉え、仲間から孤立して作業に没頭していたが、やがて理解者が現れその目的は人命を救うことに変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすが……。(シネマトゥデイさんより)
【かんそう】
※がっつりネタバレしてますよ※
せつなかったですわぁ。
悲しかったですわぁ。
もっと、難しい暗号をあーだこーだと皆で解いていってスカッとする物語なのかと思ってました。
ほぼアラン・チューリングのお話でしたね。
私は「エニグマ」という存在も知らなかったのですが夫はアランの事は知らなくても「エニグマ」の事は知っていたようでびっくりしました。
孤高の天才アラン・チューリングを演じるのはベネディクト・カンバーバッチ。
よかったですわー♪
なんかぴったりでした。
最初は仲間ともギスギスしているのですが、一人の女性の出現により、徐々に仲間とも打ち解けていくアラン。
みんなにリンゴを配るところなんてかわいらしかったです。
でも、アランて天才ゆえに偏屈で、一般な人たちとはちょと違う・・なのには変わりないのですが、女性のジョーンを採用したり、ジョーンの意見は素直に聞いたり、と完全に「外部から何も取り入れへんのじゃ!わぃが一番じゃ!!」ではないんだなぁ、と観ていて思いました。
ジョーンを採用する際にアランが言った
「誰にも思いつかない人物が、誰にも思いつかないことをやってのけたりするんだよ」
これが後々に活きてきます。
仲間と共にエニグマ解読に挑む日々。
でっかいでっかい「エニグマ解読マシン」に「クリストファー」と名付けるアラン。
もうね。この名前の由来も後でわかるのですがせつなくてねぇ・・・
丹精と愛情を込めて作り上げた「クリストファー」ですがなかなかうまく動いてくれません。
国側もしびれをきらし始め、そんな無駄なマッスィーンなんて壊してしまえーーー!!!
うぉぉぉぉぉーーーー!!!
となるのですが、この頃には仲間の結束も固くなっており、アランをかばう仲間たち。
ちょっと青春・・・
先ほど書いたこのセリフ。
「誰にも思いつかない人物が、誰にも思いつかないことをやってのけたりするんだよ」
ジョーンに向けたものでもあり、アランに対してもあてはまるものだったりするのですが、私はあの「エニグマ」解読のきっかけを作ったジョーンの女友達にも当てはまったりするのでは??と思ったりしました。
その女友達に関して言えば「やってのける」までは言い過ぎなのですが。
アランは彼女の何気ない仕事の話から「エニグマ」を解読するきっかけ、そしてクリストファーを活躍させるきっかけを見出したので。
もちろんそこに気付くのはさすがアラン!なのですが、まさか彼女からヒントをもらうなんて思っていなかったと思います。
あーんなにああでもないこうでもない、と皆で一生懸命昼夜問わず「エニグマ」に立ち向かっていたのにね。
解決する時って、なんでもあっけなかったりするもんかもしれません。
さぁ、いよいよ「クリストファー」の本領発揮です!!
ガァッション・・・ぶぶぶぶぶぅーん・・と、動き始めた時は私も感動しました!!
しかし、解読できたからと言ってすぐに解読文章を軍に採用されて戦争に活かされてしまったら、敵国にこちらに解読されているとばれてしまう。
彼らは苦渋の決断をします。
もう・・・
戦争じゃなかったらなぁ・・・
という想いがこみあげてきますわ。
そしてもうひとつ・・・
アランのジョーンへの想いについてもせつないやら悲しいやら・・・
アランは女性を愛せません。
ですが、確かにジョーンの事は大好きだったと思います。
仕事のパートナーとして。
仲間として。
友人として。
一人の人間として。
アランにとってジョーンは大切な大切な存在だったと思います。
ジョーンが去ってしまうかも!!と切羽詰まった時、アランは自分の事を隠してジョーンにプロポーズ。
ジョーンも嬉しい~♪
一発逆転ホームランよー♪♪な気分だったかもしれません。
ジョーンもうっきうきー♪
しかし、とある事件からジョーンの命が危なくなってきます。
アランはまた焦ります。
「君のことはもう愛してないねん」と嘘をつき、そしてついには当時イギリスでは犯罪扱いされていた「同性愛」についてのカミングアウトもし、なんとかジョーンをこの場から離れさせようとします。
ここでも泣けてしもてねぇ。
今まで自分の事や仕事の事しか考えなかったアランがこんなにも他人の事を心から心配し、想い、考え、危険を冒してまでも行動するなんて・・・
本当にジョーンを大切に想ってたんやなぁ・・・
と思いました。
また、ジョーンはどうしても納得いかず、彼に返す言葉も彼女らしくて彼への愛情が伝わってきました。
ところで、カンバーバッチさんが同性愛者という設定で下の画像の彼が出てきたら『裏切りのサーカス』を思い出さずにはいられませんでしたわ。
どもっ
『裏切りのサーカス』また観たいわー
と、脱線してすみません。
結局アランとジョーンは結ばれることはなかったのですが、戦争終了まではきちんと任務を遂行します。
その間に、やっぱり戦争やなぁ・・・という事が仲間内で発覚したりするのですが、その事を知ったアランは苦悩するもののジョーンの身を守るために国の軍部にその事を訴えるのですが、軍部はすでにその事を知っていました。
あぁ・・アランの切り札が・・・
やっぱ国レベルの軍部となるとちょっとやそっとでは騙せへんねぇ。
そうして第二次世界大戦も終了するのですが、結果はどうであれアランたち、そして「クリストファー」の陰ながらの大活躍は間違いありませんでした。
そうは言ってもやっぱりその「大活躍」が戦争じゃなかったらなぁ・・・とも思いますし、戦争だからこその大発明だったかもしれんしなぁ・・・とも思ったりで複雑です。
戦争終了後、彼らは解散。仕事の事を口外することも再会することも許されませんでした。
きょーのひはーさよぉぉぉーなぁぁらぁぁ~
そして1950年代に入ると、アランは同性愛絡みの罪に問われ、服役するか、ホルモン剤を打つ化学療法かを迫られ、「クリストファー」と仕事のために化学療法を選ぶのですが。
だって、もう、見るに堪えられないくらいに衰えていたんですもの!!!
私もショックでした。
弱気になる彼をジョーンは励まします。
「あなたが普通じゃないから世界はこんなに美しい」
この言葉には私も涙。
実際、彼らのエニグマ解読によって多くの人の命が助かったと試算されています。
(エンドロールにその数字などが出ていましたが忘れてしまいました・・すみません!)
そして何年か前には正式に恩赦がなされ、彼の業績がたたえられました。
遅いわぁー!!!と、誰もが思うところですが、国が動くとなると、このように時間がかかるのはどこも同じなのでしょうかね。
劇中、時代があっち行ったりこっち行ったりするのですが、特に頭がこんがらがることなくすんなり観れましたし、いろいろ複雑な想いを抱きながらの鑑賞ではありましたが、感動の一品でもありました。
とても見ごたえがあり、面白かったです。
ありがとうございました