魔女と呼ばれた少女
(2012年/カナダ/90分)
監督:キム・グエン
【ストーリー】
紛争終結の兆しがまったく見えない、コンゴ民主共和国。水辺の村でのどかに暮らしていた14歳の少女コモナ(ラシェル・ムワンザ)は、突如として反政府軍に拉致されてしまう。兵士としてゲリラ戦に駆り出される彼女だったが、亡くなった人々に導かれて戦いを勝利に導いていく。そんな亡霊が見える力に目覚めたことから、周囲から魔女として崇拝されるコモナ。しかし、ふとしたきっかけで自分がいずれ殺害されることを悟ってしまった彼女は、恋仲になった少年と逃避行を繰り広げることに。(yahoo!映画さんより)
【かんそう】
ストーリーには14歳とあるが物語の始まりではコモナは12歳。
12歳の時に「両親を殺せ」と反政府軍に銃を渡される。
殺さないとオレが両親を鉈で殺す。
そう言われて仕方なく泣きながら銃で両親を殺してしまう。
そこからコモナは子供兵士として反政府軍に連れて行かれる。
子供兵士とか少年兵士とか称される「こども」の「兵士」は実際のお話。
戦場カメラマンの渡辺さんのお話からそういう存在がいる、というのはなんとなく知ってはいたけれど、この映画を観て、より一層現実味が増した。
とは言え、映画はやはりフィクション。
コモナに亡霊が見えたりする場面は戦闘シーンの緊張からちょっとほっとしたし、コモナとマジシャンの小さな恋の物語では微笑ましい時間が流れたりするのだが、やはり残酷な現実に引き戻される。
この国の情勢がこうだあぁだ、ということは一切描かれていないけど、子供兵士が今でもいる、という現実はこの映画で十分伝わってくる。
あんな感じで銃の使い方を教え込まれ、変な樹液(幻覚作用があるみたい)を飲まされ・・・てなんて部分も一部は実際の話なんだろうな。
んで、また、コンゴが舞台なのだが、農村や人々の日常なども多分ああいう感じなんだろうなーというのも伝わってくる。
なんでしょうな。
「子供兵士をなくそう!!」「無意味な戦争はやめよう!!」なんてのは当然のことであり、みんなが願ってやまないこと。
それがこの映画に反映されているかというと・・・
もちろんそういう願いがこめられてはいるんだろう。
だが、言い方は悪いかもしれないけれど、ちゃんと観た人が楽しめる「映画」として出来上がっているように思った。
そうでなかったらドキュメンタリーで撮ってもよかったかもしれないし(国の情勢がそうさせないかな?)、コモナとマジシャンの恋物語や亡霊のくだりなんてなくても良かったかもしれないし、政治的な部分も盛り込んでたかもしれない。
そうは言っても子供兵士は実際にいるわけで、コモナが見せていた険しい表情は12歳の少女のものとは思えない。
マジシャンと一緒にじゃれて笑いあっていたあの笑顔こそが本来の12歳の少女のものではないのだろうか。
うりぼう5つ:
ありがとうございました!