桃(タオ)さんのしあわせ
(2011年/中国・香港/119分)
監督:アン・ホイ
【ストーリー】
同じ家族に60年間仕えてきたメイドの桃さんが、ある日、脳卒中で倒れた。雇い主の息子で敏腕映画プロデューサーのロジャーは、もう仕事ができないからメイドを辞めると桃さんから告げられ、彼女のために老人ホームを探す事にする。ロジャーはその法外な費用に驚愕するが、かつての仕事仲間バッタの手配で、無事桃さんはホームに入所する事に。環境の変化に戸惑いながらも、芯の強い桃さんは次第に周りと打ち解けていく。(goo映画さんより)
【かんそう】
なかなか良い評判を聞いていたのだが、私が観たい理由と言えば、例によって「中国映画だから観ておきたい」という方が強かった。
だが、もう、そんな理由はどうでもええわぃ!と、忘れるくらいに途中から泣きっぱなし。
しかもほぼ広東語で語学の面ではわからんし。
ディニー・イップ演じるメイドの桃さんは13歳の頃から60年間ロジャー一家で家政婦として勤める。
多感な時期も青春時代も全て全てこの家一筋で「家政婦」として過ごしてきたんですよね。
家政婦のタオ・・・
そんなにも長い間一つの家で働けたのは、それだけ桃さんが誠実に働きここの家族といい関係を築いてきたからだと思うが、もちろん相性だってあるだろう。
それでも60年同じ所で、しかも家族の中にとけこむような形で働くのって難しいと思う。
いろんなこと知ってしまうやん、どうしても・・・
いろんなことあるやん、どうしても・・・
でも、桃さんの人柄や素質がきっとここの家族からも慕われたんだろうな。
そんな彼女の人柄や生き方は老人ホームでもいかんなく発揮される。
私、お恥ずかしい話、知らなかったのですが、香港も高齢者が多い地域で、こういった老人ホームや介護が多いそうだ。
劇中でもアニマルセラピーとか小学生たちの慰問とか日本と変わらない光景があった。
テレビ局が歌手たちと慰問に来た時は笑ったけど。
日本も実際あんな感じなんやろか?!そうでないことを祈るが
桃さんは脳卒中で倒れてから、老人ホームに入りたいと願う。
そこでロジャー(アンディ・ラウ)が手配し、入所するのだが、その老人ホームって意外に質素。
個室といえどもパーテーションでしきられているだけで横の声とか丸聞こえ。
プライバシーとかあってないようなもので、みんな、窓から人の部屋覗いたり、勝手に入ってきたりする。
長屋感覚ですわ。
んで、桃さんの入ったばかりの時の表情が、もう・・・
彼女、ここではやっていけないんじゃないだろうか・・・と思わせるようなすごい表情していた。
そう、この映画では桃さん役を演じたディニー・イップの表情が素晴らしいのだ!!!!
彼女のひとつひとつの表情でロジャーのことをとても大切に思っていることもよくわかる。
老人ホームに入ってからも「忙しいんだから来なくていいよ」とロジャーにいう桃さんだが、ロジャーが来るとわかると、とっても嬉しそう。
本当に本当に桃さんは60年間、このおうちで一生懸命、家族のために働いてきたんだなぁ・・・
誰かを想い、誰かに想われる・・・ってやはりすごく心が温かくなるものだし、それだけでがんばれる気がする。
たとえ血がつながっていなくても。
人を想い、寄り添う気持ちって・・・そんなの関係ないよね。
アンディ・ラウの優しさにあふれるまなざしも本当に素敵だった。
この夏、超強いアンディ・ラウ観たのがウソのようだよ。
(王朝の陰謀~判事ディーと人体発火怪奇事件 ・・このツイ・ハーク監督もちょこっとだけ桃さんの映画に出てる!)
映画のことを思い出すと今でも涙が出てくる。
淡々と描かれている桃さんとロジャーの日々。
でもそこにはゆるぎない絆と優しさがあった。
最近友人が「気にかけてくれる人がいるというのは幸せな事だ」と言っていたのだが、この映画はまさにそういうことを思わせてくれる映画だった。
時にくすっと笑わせてくれたりして終始温かい気持ちで観れた作品だった。
そして今思い出しても心が温かくなれる作品だ。
くうこのおまけ
・桃さんが飼っている猫がこれまた可愛かったなー
・アンディ・ラウと言えば大俳優さんですが、私はいつも彼を見ると石田ひかりさんと出た変なラブコメを思い出してしまう。
・後ろのおじいさんが多分チケット売り場でとまどったんだろうな。「ほんまモモさんかトウさんかわからんわ」と始まる前に言っていた。売り場にもちゃんと「タオ」と読み仮名が書いてあるんやけどなー。わかりにくいか・・・
うりぼう5つ:
ありがとうございました!
良い週末をお過ごしくださいませー☆