岐阜県郡上八幡の
助産師＆鍼灸師の
加藤祐里です。
私が長男の妊娠中に
働いていた産科病院は
トコちゃんベルトを勧めている
病院だったので
私は疑いもせずに
トコちゃんベルトしか
していなかったのですが
３人目のお子さんを妊娠されていた
先輩看護師さんが
昔ながらのさらしの腹帯を
していました。
「今どき、さらし？！」と
ややバカにしたような
気持ちもあったのですが
先輩曰く
「悪くないよ～」との
ことでした。
私がさらしの気持ちよさに
気付いたのは
二人目を妊娠中です。
ある日何気なく
お風呂上りに
さらしの腹帯をしてみたら
冬でもないのに
妊娠してから夜中に２回はおしっこで
目が覚めていたのに
ゆっくり朝まで眠ることが
できたんです。
それなりに冷え対策もしていたし
それほど寒くも感じていなかったけど
さらしの良いところは
綿１００％で汗をすいやすいし
何枚も布を重ねるので
空気の層ができるので
保温効果を高めてくれます。
最初のうちは
すぐにほどけてしまって
昼間の動くときには
着けていることができなかったのですが
慣れてくると
布もなじんでくるのか
それほど苦ではなくなってきました。
サイズを選びませんし
自分で巻き加減も調整できるますし、
トコちゃんベルトが痒くなる方も
さらしを代用して使うことも
できます。
確かに素人がいきなり使うのには
ハードルが高いものですが
使い慣れて
気持ちよさを感じると
上手く言葉で説明できないけど
「悪くないよ～」という
返事になります。
誰に聞いたか忘れてしまったけど
腹帯がほどけやすいのは
‘洋装’に適した
身体の使い方や
筋肉の使い方をしているから
だそうです。
着物を着ている時のように
身体の中心を意識した
使い方になってくると
それほど、乱れなくなるらしいです。
姿勢や身体の使い方は
無意識なので
自分では実感しにくいですが
身体の中心を感じて
くるくる巻くという行為を
毎日続けているだけでも
身体の正しい軸を思い出して
整えていくような
安産につながる効果が
あると思います。
布一枚で赤ちゃんを抱っこする
へこ帯もそうですが
日本人がずっと培ってきた
子育て文化は
身体全体の柔軟性や
‘何回も繰り返して
身体で覚える’ような
本能的な能力が必要とされます。
プラスチックの金具がついた
抱っこひもは
使い方が分からなくても
取扱説明書や
サイトで検索すれば
誰にだって使えます。
これは頭（理屈）しか
必要とされない道具です。
言い方を変えれば
使っていても
それほど人の能力を育てる
要素が少ない道具です。
さらしの腹帯も
へこ帯も着物も
後ろに手をまわす動きを
繰り返しますし
身体をねじって後ろ鏡で
みながら着物を着たり
眠たくてぐずっている子どもを
落っこちないように背中で
重心を保ちながら
紐を結んでいくには
身体の柔らかさと
手先の器用さと体幹感覚と
空間認知力が
高くないとできません。
着物文化は‘しつけ’の文化だと
思います。
しつけは頭（理屈）で知っている
分かっているというレベルをこえて、
身体が覚えるまで
何度も繰り返し
言って聞かせて、
みせていくことです。
やり方（理屈）以上に
そこに教える人、教えられる人の
コミュ二ケーションや
口では説明できないような
力加減やコツやクセ、美意識を
感覚として写していく必要があります。
箸を使えるようになったり
ちょうちょ結びがきれいに
できるようになることと一緒で
自分ではできていると
思っているけど
他の人がみて美しいと感じるまでに
芸術性があるレベルまで
高めてあげることが
より気持ちよく
道具のいいところを引き出す
使い方ができるようになりますし
日本人特有の仕事の細かさや
繊細さ、相手への思いやりを
育てる感覚につながります。
着付けも自分では着れるように
なってきても
一日、着物で過ごしていると
着くずれします。
その人の身体の使い方の
クセもありますから
同じように着付けを習っても
人によって差が出ます。
師匠にみてもらって
「ここを引っ張るといいよ」と
指摘してもらうと
もっときれいに
着れるようになります。
へこ帯もスリングも
街中で使い慣れた人が
初心者をみかけると
「あそこのしわを
もっと引っ張ってあげたい」と
おせっかいを焼きたくなります。
私たちは育児用品に限らず
道具を他に入れると
より便利で簡単で
早く結果をだしたがる
傾向がありますが
シンプルなものほど
手間と時間かけないと
身に付きません。
子どもだって
すぐには成長しないように
親だって
何回も失敗して
上手く行かない時期を経験して
ようやくなんとなく
形になってくるのは同じです。
もりのこ鍼灸院でも
さらしの腹帯の巻き方
指導します。
（指導料１０８０円）