【ダイヨン惑星原宿】 | Guitar Wolf SEIJI OFFICIAL BLOG「フジヤマシャウト」Powered by アメブロ
2018-03-25 20:15:59

【ダイヨン惑星原宿】

テーマ:ブログ

【ダイヨン惑星原宿】



 


原宿のラフォーレの交差点近くの角に、かつてクールスがたむろし

ていたというカフェドロペというおしゃれなカフェがあった。

美人のウエイトレスが揃っているという噂があり、一度も入った

ことはなかったが、しょっちゅう行く店がそこから入った路地先に

あったので、角を曲がるときには必ずウインドウ越しに中をチラ見

して、通り過ぎた。路地の突き当たりに目当ての煉瓦っぽい建物が

あり、ランプの照明がつく階段を周り降りると‘OH GOD’という仲間

のたまり場があった。

ある夜、誰かいるかな?と入ると顔見知りはいるが、いつもの仲間

はいない。帰ろうかなと思ったが、くるりと見回した視線の最後に

ジーンズのミニスカで白いTシャツ、やや金髪でハーフのすごい

美人がたった一人でレジ横の長いすに座っていたから、なんだか

気もそぞろになり、すっかり浮き足出した。しかしそんな風をさとられ

たらたまらない。いかにも最初から座るつもりだったように

ツカツカブーツを鳴らしながらカウンターに腰掛け、いつも頼む

ハーパーの水割りを注文してとりあえずかっこつけた。

最近この店でたまに見かける女の子だ。20歳くらいだろうか?

カウンターの鏡に映る彼女を見ると、人を待っている様子でもなさそうだ。

としているうちにいきなり鏡越しに目があった。

盗み見ているのが一気にばれた気がして、思わず残りの液体を飲み干す、カランと氷が鳴り、金をレジに置くとその子の前を大股で歩きすぐに店を出た。

ちぇっ、意気地ねえでやんの。

とは言え、当時オレにはつきあっている女の子がいた。

 

 

 

雨の原宿は嫌いじゃない。ジャンジャカ降られるとお手上げだが、傘を持っても持たなくてもいいくらいのそぼろ雨だと、原宿がボーッと夜の明かりにしっとり濡れて、この街に生きる人間だけが感じる清涼感があった。そんな日の夜は長い。よく仲間と遊びに行く事が多かった。不思議と雨の日は‘OH GOD’じゃなく居酒屋が多かった気がする。

そういう雨の日だった。居酒屋大炊宴に誰々が集まるらしいから遊びに行こうとパンクショップのだちから耳打ちされ、仕事あがりでオレは一人向かった。竹下通りを抜けて明治通りを渡り左に曲がれば、二股の右側のトンちゃん通り沿いにその大炊宴はあるが、オレはよく、竹下通り中くらいにあるクレープ屋の角を左に曲がり隣接する東郷神社を裏から抜ける道をよく使った。こっちの方がショートカットにもなるし、たまに通るとなんだか気分がいい。

日露戦争でロシアのバルチック艦隊をことごとく沈めた軍神、東郷平八郎が祭られているこの神社は、なんだかかっこよく身をシーンと引き締めてくれる。しかもおまけに幼い頃から母方の祖母に東郷元帥が亡くなった時はそれはそれは国中あげてすごかったんよとよく聞かされていた人でもある。

 

 

 

雨の神社は暗くいきなりひっそりしていた。竹下は静かと言ってもやはりそれなりのにぎやかさがあり、ついさっきまでいた場所なのになんだか急にあの暖かさが恋しくなる。上空を見上げるとそんなに降ってはいないと思っていた雨も、落ちてくる雨の粒がはっきり見えて、やはり傘くらい差した方がよかったかなと思ったがしょうがない。少し首をすぼめて早歩きで歩いた。そのままいつもならそそくさと抜けていくが、その日はなんだか、たまには東郷元帥に手でも合わせるかと、境内の方に曲がった。

踏み入れた瞬間だった、キラっと誰かの目が光る気がした、傘を差したいつかのハーフのあの子だった。意外な気がして思わず声がでた。

「お参り?〕一瞬ちょっとにらむような目つきをされたが唇が少しゆるんで、無言でうんと頭を立てに振った。そこですれ違い、彼女はそのまま出て行った。

鈴を持ってジャンジャン鳴らし手をあわせる。

「なんだよ、返事くらいしろよな」と思い「チェッ」って気分で振り向くと

そこに彼女がいた。「こんにちは」「おっと、こんにちは」

 

 

 

傘を捧げてくれたが、オレは大丈夫と手で押しやるジェスチャーをしたが、やはり幾分こちらの方に傘を傾けてくれた。「お参り?」「似合わない?私日本で生まれたの」「でももうすぐ、ママと一緒にオランダにいくかも」

二三言葉を交わすと、もう明治通りだった。自分はここを渡らなければならない。「じゃあ」と言うと「えっ」という表情があった気がした。でも気のせいかもしれない。「私ロペで働いています」そのまま彼女はラフォーレの方に歩いて行き、自分は明治通りを渡った。

 

 

 

東郷神社の事があって、‘OH GOD’に行く時にはいつもより注意深くロペをチラ見して角を曲がった。なかなか姿を留めることはできなかったが、一度だけ彼女を見かけた事がある。

誰かのオーダーを取っている様子だった、「おっ!本当にいた」とのぞく自分に気がついたのか、一瞬、すこぶる人懐っこい笑顔をこちらに向け、顔の両側で手を小刻みに振ってくれた。

へえ、こんな笑顔がこの子にあったのか。

 

 

 

今、ギターウルフはヨーロッパをツアーしている。

オランダでは3日間ライブがあった。

ほとんど会話らしい会話なんてなかったが、オランダに来ると彼女を思い出す。彼女はローラと言った。オランダの発音だと、ラウラと言ってウのところをのどに舌を押し込めるような発音をだすのと、あの子はあの夜少し笑った。「駅前で働いているよね」オレの事を何度か見かけているようだった。傘を少しオレに傾け、彼女の右肩はポツポツ雨を受けていた。ずいぶん華奢で、オランダの大柄でがっしりした女の人とはずいぶんイメージが違う。ひょっとしたら、彼女はあの後、オランダに行ったけど、オランダが合わずに日本に戻ったんじゃないだろうか?随分勝手な想像だが、オレはあの後、少しして原宿を出たし、その為、OH GODに行く回数も全く減ったから、その後のローラの事はわからない。

 

 

 

ただ何十年も発った今でも彼女が神社に手を合わせる映像が、自分のまぶたにあざやかに残っている。実際に自分は、ローラが手を合わしている姿は見ていないはずなのに不思議だ。

その姿はまるであの東郷神社の暗い夜空から降ってきた雨の光のような、ほんのかすかなきらめきではあるが、かすかであるからこそいとおしい。

 



















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