【グアムたいむ】






房総半島のへりから、とお!とJUMPして、

太平洋にちょこっと頭を出していた岩場に着地した。

するとそこはアメリカだった。

グアムだ。

沖縄に行ける位のところにアメリカがある、

もちろん知ってはいたが少し新鮮だった。

ある仕事で行った。

海が真っ青だ。

地図で見ると、でっかい太平洋の波がザブ~ンとくれば

すぐびしょびしょになるような岩のようなイメージだが、

到着すれば、当然、町があり、車は走り、でっかいホテルもある。

何か少しだけ不思議な気分になった。

とは言えやはり海の真ん中にポツンのせいか、

そこで流れる時間は、自然にあらがわず、すごくのんびりしていた。

熱い日差しの下、ビーチ手前の芝生で草刈りの音がしていた。

その音の中、みんな海にプカプカ浮かぶ。

だが、突然真っ黒な雲が、海の向こうからやってきて雨をザーっと降らした。

でもそれもいつの間にかやみ、気がつくと何事もなかったかのように

また熱い日差しが海をキラキラさせ、草刈りの音が戻ってきていた。

人間は自然に生かされている。

それどころか本当は人間も自然の一部なのに。

グアムの時間に意識を漂わせていると、フッとそんな事を感じた。




帰りの飛行機が飛び立った瞬間、窓を開けてグアムを見た。

見えた側面は、海に崖が切り立っていて、輪郭に沿って白い道があった。

緑がそこから始まり乗っかるように茂っている。

飛行機の上昇と共に、その緑が遠くまでもうもうと広がっていき、

遂に雲にかすれたグアムの全貌が見えた時、

グアムは、ほぼ緑で覆われている事を知った。

その時ある日本兵の事を思った。

横井庄一さんだ。

グアムは日本の淡路島と同じくらいだ。

確かに緑で覆い尽くされているが、ジャングルと言う程ではない気がする。

ここでよく28年も隠れていたなと、その歳月の長さに驚きだ。

戦争はかつて、この平和な島にもやって来た。

この海がたくさん汚れたかもしれない。

地球で、人だけがやたらと暴れている。

飛行機の窓からはあっという間にグアムは見えなくなった。

真下は海だけで、そこに幾筋か潮の線をのばした小さい船が何艘か見える。

グアムからでたのか、グアムに向かうのかな?

しかしあのグアムの女の子は綺麗だったなあ。

気がつくと、さっきまでの人類的な憂慮はあっという間に消え去っていた。