【NZザッブ~ン!?】



ザッブ~ン!

ピックが池にいきなり飛び込んだ。

「おい、おい、おい!」

浮かびあがったとたん、池の真ん中でバタフライだ。

ピックは反対岸まで泳いで、気持ち良さそうに上がってきた。

上半身裸でズボンはびっしょびしょ、でもこの太陽の下なら、

乾くのはあっという間だろう。



ニュージーランドの夏、ラグランという町でライブをした。

夜、ピックの家に泊めてもらう。

彼は奥さんと娘の3人暮らしで、周りをトウモロコシ畑が囲む

一軒家に住む。

朝起きて、外に出ると太陽が暑かった。

夕べの革ジャンを干そうと家のフェンスに掛けた所で、

向こうの草むらの道からピックとドラムのクラちゃんが歩いてきた。

「なんかすごいですよ、あっちに池があって、全部自分の敷地らしいです」

クラちゃんが興奮気味に話す。

そこでオレ達は、その場所へ車で連れて行ってもらう事にした。

草むらのでこぼこ道を300m位ドカドカ車は走る。

でっかい木が茂った手前に、二つの池があった。

一つの池では水面をネッシーのように水鳥がツーっと泳いでいた。

その向こうのもう一つからは、蛙の音がゲロゲロ聞こえ水面を

トンボが無数に飛んでいた。

両方とも貯水池として使っていて魚はいないらしい。

ピックが泳いだのは、蛙の泣き声がしてない方だ。

夏にはプール代わりに、子供とよく泳ぐという。

「贅沢!」思わずそう思った。

ニュージーランドはこういう広大な家が多い。

日本の3分の2の広さに4百万人が住む。

横浜市の人口が3百80万人だから、それに近い人口が

全部を使っているので、人口密度は空き空きだ。

長崎諫早に住んでいた頃は、こんな池はたくさんあったが、今はどうだろう。

でもそれが、自分の敷地にあるなんて、ちょっとぶったまげた。

プールがあるよりうらやましい。



自然に囲まれ、心にゆとりがあるせいだろうか、

ニュージーランド人は親切な人が多い。

今回も世話になった、昔D4というバンドをやっていたジミーが言った。

「ニュージーランド人はGenerousなんだ」

ジェネラス?礼儀の正しい人かなと思ったが、説明を聞くといろいろ無償で

分け与えてくれる人の事を言うらしい。

日本に帰って辞書を引くと(気前がいい、寛大)と書かれてあった。

ジミーが言うには、「日本人もそうだ!」と言う。

ありがたい評価だね、そうありたいもんだ。

でも海外で世話になると、そんな気持ちがどんどん育つ。



さてさて!AU&NZツアーから帰って来たゼ。

年末に向かってまたまたロッキンロールだ!