【ウォーグルス登場】



プルルルルルルー

電話をかけると「ガチャ」

受話器を上げる音が聞こえ、声がした。

Rock'n Roll

一瞬、エ!?

吹き出しそうになるのをこらえた。

日本なら「もしもし」アメリカなら「Hello」とくるところにRock'n Roll

このキザな出方をするのはウォーグルスのVo、マンフレッドだ。

おかしかったが、ロックスターとしての陶酔ぶりに感心もした。



ウォーグルスを始めて見たのは1994年、ギターウルフ2度目の

アメリカツアーだった。

遊びに来た第2回目のガレージショックの何日目かのトリに

彼らは出てきた。

クラブには客がぎっしり入り、彼らの登場を待っていた。

しかし一向に彼らはステージに現れない。

でもクラブの外がなんだかガチャガチャ騒がしいゾ、

そう思うやいなや、

クラブの入り口が開き、マンフレッドを先頭に、男女入り乱れての

でこぼこの楽隊が現れた。

メンバープラスその辺りの客をかき集めたのだろう。

みんな、手に手に缶やら打楽器を持ち、そしてなにやら歌い踊りながら、

客の間を練り歩き、行列がステージまでどんどん伸びていく。

なんだか、チン問屋のようで面白かった。

そしてステージに行列をそのままあげた後、Drのカウントがなったら

もう大変だ、ズドーン!目の前にダンス天国が出現した。

クラブ全体が、熱狂の渦となる。

オレはあっけにとられて見ていたが、気がつくとリズムで身体が

動いていた。ウォーグルスのライブは底抜けに楽しい。

次から次へと繰り出されるダンスナンバー、スター然としたマンフレッド、

そして意外に骨太なハードなギター音にみんなが興奮する。



ライブ後、マンフレッドに話しかけた。

その時が初対面だった。

しかし、マンフレッドは一年前に出たギターウルフを知ってくれていた。

オレはそこで、素晴らしいライブへの感激を伝えると共に、

彼の町でライブができないか聞いてみると、

意外にもあっさりOKの返事をくれた。

そして数日後、約束の日の前日に、オレ達はレンタカーで彼の町に向う。

アトランタから東に2時間ほど車を走らせた町アセンズ。

簡単な道だが、途中、少し迷い電話した。

まだ英語の電話は怖かった。

だが、掛けるしかない

すると冒頭のRock'n Rollだ。

Hi!やあ、今向かってるのかい、What!?迷ってる?」

電話の向こうで、陽気なマンフレッドがどんどんにしゃべってきた。

聞き取るだけで難渋したが、何とか耳を凝らして、彼の英語に必死に

食らいついた。

その時、聞こえてきた一つ一つの単語をつなげて概略すると、

こんな感じだ。

「今来てる道をそのまま行くと、コーラの工場があるんだ、

その工場は全米で一番古いコーラの工場で、そこでできるコーラは

ジョージアで一番おいしいんだ、昔、おじさんがそこで働いていてね、

子供の頃そこできるコーラをよく飲んだもんさ」

「...」

「その工場のところを右に曲がると今度はキャンデイの工場がある。

そこのキャンディは...(聞き取り不能)」

「...」

「いやあ、ほんとにギターウルフがうちの町にきてくれるなんて感激だよ、

泊まる場所は、家の近くにモーテルがあるからそこに泊まるといい。

そのモーテルの前には町で一番うまい、バーベキュー屋があるんだ。

ソースが特別でね、今夜はそこでみんなでディナーをとろうか?」

「...」

マンフレッドは素晴らしいナイスガイだということはとにかくわかった。

人を常に喜ばせようと気持ちにあふれている。

でも電話では道だけで十分、他はいらんちゅうねん、

道だけ教えてくれ!

コーラの工場を右に曲がるってだけで、他はいらんわい。、

でもなんか話好きのおもしろい兄ちゃんだゼ。



アセンズで世話になった後、それが縁でウォーグルスは

何回か日本にやって来ている。

よほど日本が気に入ったと見え、彼らの何枚目かのアルバムでは

スパイダースの曲メラメラを日本語で収録している。

オレはある深夜、家で始めてそのメラメラを聞きた事を憶えている。

アルコールが少し入っていたせいもあったかもしれないが、

彼らの日本への思いに、ものすごく感激して胸が熱くなった。

その彼らが5年ぶりに日本にやってくる。

メラメラは聞けるだろうか?

彼らの素晴らしいライブを体験してくれ!


2013/10/24 大阪灘波Mele(セイジのみゲスト参加)

10/25 名古屋OYS(セイジのみゲスト参加)

10/26,27 新宿LOFT BackFromTheGrave Halloween Party 2days

(27日にギターウルフ出演)



ここにマンフレッドから伝言が届いているので伝えるよ。

アメリカ人って変な言い回しが好きだね。


■ウォーグルスからの手紙

『やあみんな、元気かい!

ウォーグルスが5年ぶりに日本にカムバックするよ。

みんなさびしくなかったかい?

フジヤマママのくしゃみで呼び起こされたモスラに乗って、

僕たちはアメリカから君たちのハートのトップに踊り出るつもりさ。



思い起こせば、僕たちが始めて日本にやってきたのは1995年だった。

まるでウルトラマンが地球を救うように日本にやってきたのに、日本には

グレートなバンドがたくさんいて、逆にRock Risingの光に浴びせられた事を

昨日の事のように思い出すよ。

でもそれは我々にとって素晴らしい事だった。

なぜなら、彼らとしのぎを削る事で、ウォーグルスはたくさんの必殺技を

手に入れる事ができたからさ。

日本にはすこぶる感謝しているよ。



さて我々ウォーグルスの自己紹介をしよう。

Rock'n Roll! まずは僕からだ。

レディース&ジェントルマン!

リーダーのプロフェッサー、マイティマンフレッドだ。

僕の指にはじかれるタンバリンの音は、魔力のように君たちの身体に

電気ショックを与えるんだ。

そうなれば君たちは、ステージの周りを忍者のように

飛び跳ねるしかないのさ。

そしてリズムが指圧師のように君たちの身体のつぼを次から次へと押さえ、

君たちはすかっりウォーグルスのロックのとりこになるだろう。

ジェフが弾くギターは、サムライが斧を振り回すが如く、石炭のような

大粒のゴリッとしたぶ太いサウンドがはじけ出て、君たちのハートの

深いところを刺激し続けるだろう。

一番大切なグルーブを生み出すのは、エレクトロなイギリス紳士のバズと

アラバマで獰猛なキャットフィッシュと格闘しているダンだ。

二人のハーモニックスされたグルーブが会場を包囲したら最後、

君はもうそれにすっかり身をゆだね、ウォーグルスのダンスナンバーが

終わるまで、君は心地よくそのグルーブに抱かれ続けるだろう。

ゾクゾクするだろう、いや僕自身が今からゾクゾクしているよ。



さあ、本物のRock'n Rollが欲しいなら、ウォーグルスの元に

やってくるんだ。

Rock'n Rollですべてをわすれて思いっきりはじけてダンスしよう!

その為にウォーグルスは日本にやってくるのだから。

日本のみんなに会えることを楽しみにしています。

ウォーグルスから愛を込めて。

Manfred 』


■ウォーグルス来日記念HP

http://erostika.net/woggles2013/