【ラジオ体操タイム】


二段ベッドの上でオレは目を覚まし「あっ」と思った。

すぐに、頭側の窓に首を向けながら身体をクルッと回しうつぶせになり、

もうすっかり朝の窓の向こうをうかがった。

窓の外には家の庭があり、そのずっと先に公園から続く通りが見える。

その通りを、ラジオ体操から帰ってくる子供たちがゾロゾロ歩いているのが見えた。

「あ、終わっちゃった」

朝に子供たちの服の色が淡く、そしてみんなの首にはピンクのビニールの

紐につながったカードが下がっていた。



長崎にいる小1か2の夏休みだった。

低学年の頃の夏休みの思い出と言えば、ラジオ体操とプールだ。

近くの公園で、毎朝ラジオ体操があった。

絶対に行かなきゃならないものと思っていたが、ある日寝坊して

絶対ではないことを知った。

それから寝坊が増えたが、まあ、行った方だと思う。

生放送のラジオ体操の歌を歌い、ラジオ体操第2のがに股になる動きで、

友達とクスクス笑いあう。

そしてカードにはんこを押してもらって帰る。

東の空には、目の高さよりちょい上の太陽があり、いつも少しひんやりした朝だった。



先日、ライブで飲んで朝帰りした。

その時、ラジオ体操に行く子供たちを遠くに見た。

時間の流れはあっという間だ。