【サンフランシスコの覆面】


                         

1993年頃、大阪のジョーからいきなり電話があった。

「サンフランシスコにすごいバンドがいます!」

さらにジョーが言う。

「これ聞いたらオレ、なんぼでも曲ができそうです」

ロックバンドは常に新曲を追い求めている。

大阪でゴーグルスというバンドを組んでいるジョーもそうだ。

しかしこれがなかなかできない。

だが、聞くだけで、なんぼでも曲ができるとは!?

オレは文字どおり、凄まじく興味をもった。

そのバンドの名前はスーパーチャージャー!




ジョーからスーパーチャージャーのテープが送られてきた。

封筒破ってテープを取り出し、ガチャっとデッキに突っ込んだ。

果たして、なんぼでも曲ができるそのロックとは!?

ギャッギャ~ン、恐ろしく下手だった。

だが、すばらしい。

まさしく、オレがもともと追い求めているロックの形がそこにあった。

初期衝動のみ、チープだが、勢いとアイディアがキラキラしていた。

後に知るが、リーダーのグレッグはこの時、ベースの初心者だった。

通りで、通りで、ちょっと弾けるようになると、簡単すぎてやらないようなフレーズ

ばかりだゼ。

だが、それでいいのだ、それで十分、他にはいらない。

わかっちゃいるがあらためて、目からウロコだった。




1993年、ギターウルフはサンフランシスコで初めてライブをする。

「日本から来た黒い革ジャンの3人組、なんだか不気味で、声がかけれなかった」

オレ達がグレッグに会うより先に、グレッグが先にオレ達を見ていた。

その時の模様を、グレッグは、後にそう話した。

「オレ達が不気味!?」

「お前らの方が不気味だろ!」

そう思ったが、アメリカ人の思わぬ評価に驚いた記憶がある。




その翌年だったと思う。

またもや大阪のジョーから電話があった。

「スーパーチャージャーは解散しました。

そしてリーダーのグレッグは、リップオフスというバンドを組んだみたいです。

全員黒い覆面してますゼ!」

リップオフス!このバンドは偉大だ。

スーパーチャージャーからやってきたグレッグの完成形がこのバンドにある。




そしてその年1994年、シアトルの北ベリングハムの第2回ガレージショックで、

オレはついに、グレッグと顔を合わした。

リップオフスのショウの後、オレはギターウルフの2枚目のCDを彼に渡す。

すると、いきなり「セイジ!」と反応の速さに驚いた。

それが、前年のいきさつによるものだと知ったのは、その後だった。

そしてその年の11月には、他の日本の仲間と一緒にリップオフスを日本に呼ぶ。

オレの家にみんなを泊めた。

部屋をずいぶん無礼にあつかってくれたっけかな。

不良パンクバンドといきがりやがって、にゃろめ。

そのリップオフスが、再び来日する。







警告!
サンフランシスコの悪名高き覆面の怪人達THE RIP OFFSが、急遽再結成し、
日本にやって来ることが決定した。

注意してください!!




当局は、彼らが沖縄、大阪、名古屋、そして2回の東京のライブで、
それぞれのクラブを破壊しようとする計画を持っている事をつきとめました。




また爆音の犯罪者たちは、17年前に行われた前回の日本ツアーのように、
飲みまくりバカ騒ぎする計画も持っております!




目撃者は語る。
キャッチーな彼らの曲は、下手な風邪より君たちのハートを捕らえるのが早い!
だが、彼らのショウは、常にカオスと狂気に支配されている。
よって、しばしば中断される。




酸素ボンベを用意してください! 
なぜならThe Rip Offsがすぐそこに迫っているからです!!




(サンフランシスコ市警をかたる、あるアメリカ人からの警告!)




10月26日  心斎橋PANGEA (セイジのみ参加)
10月27日  名古屋OYS (セイジのみ参加)

10月28日  東京新宿ロフト
10月29日  東京新宿ロフト with ギターウルフ





オレはグレッグのロックセンスを愛している。
リップオフスを体験してくれ!